The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

October 20, 2011 Vol. 365 No. 16

抗レトロウイルス療法と結核治療の統合
Integration of Antiretroviral Therapy with Tuberculosis Treatment

S.S. Abdool Karim and Others

背景

以前われわれは,抗レトロウイルス療法(ART)と結核治療の統合により,死亡率が低下することを報告した.しかし,結核治療中に ART をいつ開始すべきかについてはまだ結論が出ていない.

方 法

南アフリカにおいて,結核(喀痰塗抹検査で抗酸菌陽性を確認)とヒト免疫不全ウイルス感染を有し,CD4+T 細胞数が 500 個/mm3 未満の外来患者 642 例を対象に,非盲検無作為化 3 群間比較対照試験を行った.ここでは,早期 ART 群(214 例,結核治療開始後 4 週以内に ART を開始)と待期的 ART 群(215 例,結核治療継続期の最初の 4 週間に ART を開始)で得られた結果を報告する.

結 果

ベースラインの CD4+T 細胞数中央値は 150 個/mm3,ウイルス量中央値は 161,000 コピー/mL であり,2 群間に有意差は認められなかった.後天性免疫不全症候群(AIDS)または死亡の発生率は,早期 ART 群では 100 人年あたり 6.9 例(18 例)であったのに対し,待期的 ART 群では 100 人年あたり 7.8 例(19 例)であった(発生率比 0.89,95%信頼区間 [CI] 0.44~1.79,P=0.73).しかし,CD4+T 細胞数が 50 個/mm3 未満の患者では,AIDS または死亡の発生率は,それぞれ 100 人年あたり 8.5 例,26.3 例であった(発生率比 0.32,95% CI 0.07~1.13,P=0.06).免疫再構築症候群(IRIS)の発生率は,それぞれ 100 人年あたり 20.1 例,7.7 例であった(発生率比 2.62,95% CI 1.48~4.82,P<0.001).抗レトロウイルス薬の変更を要する有害事象は,早期 ART 群では 10 例,待期的 ART 群では 1 例に発生した(P=0.006).

結 論

CD4+T 細胞数が 50 個/mm3 未満の患者では,ART の早期開始により AIDS 未発症生存率が上昇した.CD4+T 細胞数が多い患者では,ART の開始を結核治療継続期の最初の 4 週間まで待期することにより,AIDS または死亡のリスクは増加することなく,IRIS およびその他 ART 関連有害事象のリスクが低減された.(米国大統領エイズ救済緊急計画ほかから研究助成を受けた.SAPIT ClinicalTrials.gov 番号:NCT00398996)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 1492 - 501. )