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January 12, 2012 Vol. 366 No. 2

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無症候性心房細動と脳梗塞リスク
Subclinical Atrial Fibrillation and the Risk of Stroke

J.S. Healey and Others

背景

脳梗塞の 1/4 は原因不明であり,無症候性心房細動が共通の病因因子である可能性がある.ペースメーカーによって,心房頻拍の無症候性エピソードを検出することが可能であり,このエピソードは心電図で確認される心房細動と関連している.われわれは,植込み型デバイスによって検出される心房頻拍の無症候性エピソードが,それ以外に心房細動の所見を認めない患者の脳梗塞のリスク上昇に関連するかどうかを検討した.

方 法

65 歳以上で,高血圧であるが心房細動の既往はなく,ペースメーカーまたは除細動器を植え込まれて間もない患者 2,580 例を登録した.無症候性の心房性頻脈性不整脈(6 分以上続く 190 拍/分の心房頻拍エピソード)について患者を 3 ヵ月間観察し,主要転帰である脳梗塞または全身性塞栓症について平均 2.5 年間追跡調査した.ペースメーカー患者を,持続的心房オーバードライブペーシング施行群と非施行群に無作為に割り付けた.

結 果

3 ヵ月までに,植込み型デバイスによって無症候性の心房性頻脈性不整脈が検出された患者は 261 例(10.1%)であった.無症候性の心房性頻脈性不整脈は,臨床的心房細動のリスク上昇(ハザード比 5.56,95%信頼区間 [CI] 3.78~8.17,P<0.001)と,脳梗塞または全身性塞栓症のリスク上昇(ハザード比 2.49,95% CI 1.28~4.85,P=0.007)に関連した.主要転帰イベントが発生した 51 例のうち,11 例では 3 ヵ月までに無症候性の心房性頻脈性不整脈が検出されたが,3 ヵ月までに臨床的心房細動を認めた例はなかった.無症候性の心房性頻脈性不整脈に関連する脳梗塞または全身性塞栓症の人口寄与危険度は 13%であった.無症候性の心房性頻脈性不整脈は,脳梗塞の予測因子による補正後も主要転帰を予測した(ハザード比 2.50,95% CI 1.28~4.89,P=0.008).持続的心房オーバードライブペーシングによって心房細動は予防されなかった.

結 論

臨床的心房細動を伴わない無症候性の心房性頻脈性不整脈が,ペースメーカー患者では高頻度に発生し,脳梗塞または全身性塞栓症のリスクの有意な上昇に関連した.(St. Jude Medical 社から研究助成を受けた.ASSERT ClinicalTrials.gov 番号:NCT00256152)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 120 - 9. )