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January 12, 2012 Vol. 366 No. 2

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長距離走競技中の心停止
Cardiac Arrest during Long-Distance Running Races

J.H. Kim and Others

背景

米国では年間約 200 万人が長距離走競技に参加する.競技に関連した心停止が報告されており,この活動の安全性に懸念が生じている.

方 法

米国で 2000 年 1 月 1 日~2010 年 5 月 31 日に行われたフルマラソンおよびハーフマラソン競技に関連する心停止の発生率と転帰を評価した.生存者には直接面接,非生存者については近親者に面接を行い,診療録の再調査,剖検データの分析を行って心停止の臨床的特徴を検討した.

結 果

走者 1,090 万人中,59 人(平均 [±SD] 年齢 42±13 歳,男性 51 人)が心停止を起こした(発生率は参加者 100,000 人あたり 0.54,95%信頼区間 [CI] 0.41~0.70).心停止の大多数は心血管疾患が原因であった.発生率は,フルマラソン中(100,000 人あたり 1.01,95% CI 0.72~1.38)のほうがハーフマラソン中(0.27,95% CI 0.17~0.43)よりも有意に高く,また男性(100,000 人あたり 0.90,95% CI 0.67~1.18)のほうが女性(0.16,95% CI 0.07~0.31)よりも有意に高かった.もっともリスクの高い集団である男性のフルマラソン走者では,10 年の研究期間後半に心停止発生率が上昇した(2000~04 年では 100,000 人あたり 0.71 [95% CI 0.31~1.40] であったのに対し,2005~10 年では 2.03 [95% CI 1.33~2.98];P=0.01).心停止 59 症例のうち 42 例(71%)は致死的であった(発生率 100,000 人あたり 0.39,95% CI 0.28~0.52).全臨床データが得られた 31 例では,心停止の目撃者による心肺蘇生の開始と,基礎疾患が肥大型心筋症以外であることが,生存のもっとも強力な予測因子であった.

結 論

フルマラソンとハーフマラソンは,心停止と突然死の全体として低いリスクに関連している.心停止は,肥大型心筋症またはアテローム性動脈硬化性冠動脈疾患に起因することがもっとも多いが,主に男性のマラソン参加者に発生し,この男性集団における発生率は過去 10 年間に上昇した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 130 - 40. )