April 12, 2012 Vol. 366 No. 15
小児急性リンパ性白血病における寛解導入失敗後の転帰
Outcomes after Induction Failure in Childhood Acute Lymphoblastic Leukemia
M. Schrappe and Others
急性リンパ性白血病(ALL)の小児・青年における寛解導入療法の失敗は,まれであるがきわめて有害な事象である.
1985~2000 年に 14 の共同研究グループによって新たに ALL と診断され,治療を受けた 0~18 歳の患児 44,017 例のうち,1,041 例(2.4%)で寛解導入失敗を同定した.寛解導入失敗は,4~6 週間の寛解導入療法後,血液,骨髄,または髄外に白血病芽球が残存することと定義した.これらの患児の疾患の特徴,行われた治療,転帰の関連を解析した.
寛解導入失敗例には,年齢がより高いこと,白血球数高値,T 細胞型,フィラデルフィア染色体,11q23 再構成などの高リスクの特徴が高頻度に認められた.追跡期間中央値 8.3 年(1.5~22.1 年)で,10 年生存率(±SE)はわずか 32±1%と推定された.10 歳以上であること,T 細胞白血病,11q23 再構成の存在,導入療法終了時の骨髄中芽球が 25%以上であることが,とくに不良な転帰と関連した.B 前駆細胞性白血病の患児では,高い高二倍性(染色体数最頻値>50)と,1~5 歳であることが良好な転帰に関連した.T 細胞白血病の患児では,適合血縁ドナーからの同種幹細胞移植がより良好な転帰に関連した.6 歳未満の B 前駆細胞性白血病の患児で遺伝子に有害な特徴のない例では,化学療法単独で治療が行われた場合の 10 年生存率は 72±5%であった.
寛解導入失敗の小児 ALL はきわめて不均一である.T 細胞白血病の患児では,同種幹細胞移植によって,化学療法よりも良好な転帰を得ることができると考えられる一方,B 前駆細胞白血病の患児でほかに有害な特徴がみられない例では,化学療法によってより良好な転帰を得ることができると考えられる.(Deutsche Krebshilfe ほかから研究助成を受けた.)