April 12, 2012 Vol. 366 No. 15
白金製剤感受性の再発卵巣癌に対するオラパリブ維持療法
Olaparib Maintenance Therapy in Platinum-Sensitive Relapsed Ovarian Cancer
J. Ledermann and Others
経口ポリ(アデノシン二リン酸 [ADP] リボース)ポリメラーゼ阻害薬であるオラパリブ(olaparib,AZD2281)は,高悪性度漿液性卵巣癌の患者において,BRCA1 または BRCA2 の生殖細胞系列変異の有無を問わず,抗腫瘍活性を示している.
白金製剤ベースのレジメンを 2 コース以上受け,直近の白金製剤ベースのレジメンにより部分奏効または完全奏効を達成した,白金製剤感受性の再発高悪性度漿液性卵巣癌の患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照第 2 相試験において,オラパリブによる維持療法を評価した.患者を,オラパリブ 400 mg を 1 日 2 回投与する群とプラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,固形癌治療効果判定基準(RECIST)ガイドラインに基づく無増悪生存期間とした.
無作為化された 265 例のうち,136 例をオラパリブ群に,129 例をプラセボ群に割り付けた.無増悪生存期間は,オラパリブ群のほうがプラセボ群より有意に長かった(化学療法終了時点における無作為化からの中央値 8.4 ヵ月 対 4.8 ヵ月,増悪または死亡のハザード比 0.35,95%信頼区間 [CI] 0.25~0.49,P<0.001).無増悪生存期間に関するサブグループ解析により,サブグループに関係なく,オラパリブ群のほうが増悪リスクが低いことが示された.オラパリブ群でプラセボ群よりも高頻度(10%超)に報告された有害事象は,悪心(68% 対 35%),倦怠感(49% 対 38%),嘔吐(32% 対 14%),貧血(17% 対 5%)であった.有害事象の大半はグレード 1 または 2 であった.全生存期間に関する中間解析(成熟度 38%,すなわち患者の 38%が死亡していたことを意味する)では,2 群間に有意差は認められなかった(オラパリブ群のハザード比 0.94,95% CI 0.63~1.39,P=0.75).
白金製剤感受性の再発高悪性度漿液性卵巣癌の患者において,維持療法としてオラパリブを用いることで,無増悪生存期間が有意に改善した.中間解析では全生存期間に関する利益は示されなかった.この集団におけるオラパリブの毒性プロファイルは,先行研究でのプロファイルと一致した.(AstraZeneca 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00753545)