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May 24, 2012 Vol. 366 No. 21

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静脈血栓塞栓症の再発予防のためのアスピリン
Aspirin for Preventing the Recurrence of Venous Thromboembolism

C. Becattini and Others

背景

誘因のない静脈血栓塞栓症患者の約 20%は,経口抗凝固療法を中止後 2 年以内に再発する.抗凝固療法を延長すれば再発は予防されるが,出血の増加が伴う.静脈血栓塞栓症の再発予防におけるアスピリンの利益は明らかにされていない.

方 法

多施設共同研究者主導型二重盲検試験において,誘因のない静脈血栓塞栓症をはじめて発症し 6~18 ヵ月間の経口抗凝固療法を終了した患者を,アスピリン 100 mg/日群とプラセボ群に無作為に割り付け,2 年間投与を行った.試験治療は延長できることとした.主要有効性転帰は静脈血栓塞栓症の再発とし,主要安全性転帰は重大な出血とした.

結 果

静脈血栓塞栓症が再発した患者は,アスピリン群 205 例中 28 例,プラセボ群 197 例中 43 例であった(年 6.6% 対 11.2%,ハザード比 0.58,95%信頼区間 [CI] 0.36~0.93)(試験期間中央値 24.6 ヵ月).治療期間中央値 23.9 ヵ月のあいだに,アスピリン群 23 例,プラセボ群 39 例で再発が認められた(年 5.9% 対 11.0%,ハザード比 0.55,95% CI 0.33~0.92).各群 1 例に重大な出血が発現した.有害事象は 2 群で同様であった.

結 論

抗凝固療法を中止した誘因のない静脈血栓塞栓症患者に対するアスピリン投与により,再発のリスクは低下した.重大な出血のリスクに明らかな上昇は認められなかった.(ペルージャ大学ほかから研究助成を受けた.WARFASA ClinicalTrials.gov 番号:NCT00222677)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1959 - 67. )