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June 14, 2012 Vol. 366 No. 24

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ホルモン避妊法に伴う血栓性脳卒中と心筋梗塞
Thrombotic Stroke and Myocardial Infarction with Hormonal Contraception

Ø. Lidegaard and Others

背景

新しいホルモン避妊法に伴う静脈血栓塞栓症のリスクがいくつかの研究で評価されているが,血栓性脳卒中と心筋梗塞について検討した研究は少なく,結果は一致していない.

方 法

デンマークにおける 15 年間の歴史的コホート研究で,心血管疾患または癌の既往のない 15~49 歳の非妊娠女性の追跡調査を行った.4 つの全国登録から,ホルモン避妊法の使用,臨床エンドポイント,可能性のある交絡因子に関するデータを入手した.

結 果

女性 1,626,158 人,14,251,063 人年の観察において,血栓性脳卒中 3,311 件(100,000 人年あたり 21.4 件)と心筋梗塞 1,725 件(100,000 人年あたり 10.1 件)が発生した.エチニルエストラジオール 30~40 μg を含有する経口避妊薬を現在使用している場合の,使用していない場合に対する血栓性脳卒中と心筋梗塞の相対リスク(および 95%信頼区間)は,プロゲスチンの種類別にみると,ノルエチンドロン(norethindrone)で 2.2(1.5~3.2)と 2.3(1.3~3.9),レボノルゲストレルで 1.7(1.4~2.0)と 2.0(1.6~2.5),ノルゲスチメート(norgestimate)で 1.5(1.2~1.9)と 1.3(0.9~1.9),デソゲストレルで 2.2(1.8~2.7)と 2.1(1.5~2.8),ゲストデン(gestodene)で 1.8(1.6~2.0)と 1.9(1.6~2.3),ドロスピレノンで 1.6(1.2~2.2)と 1.7(1.0~2.6)であった.エチニルエストラジオール 20 μg の場合は,プロゲスチンの種類別の相対リスクは,デソゲストレルで 1.5(1.3~1.9)と 1.6(1.1~2.1),ゲストデンで 1.7(1.4~2.1)と 1.2(0.8~1.9),ドロスピレノンで 0.9(0.2~3.5)と 0.0 であった.パッチの場合は,血栓性脳卒中と心筋梗塞の相対リスクは 3.2(0.8~12.6)と 0.0 であり,腟リングの場合は 2.5(1.4~4.4)と 2.1(0.7~6.5)であった.

結 論

ホルモン避妊法の使用に関連する血栓性脳卒中と心筋梗塞の絶対リスクは小さかったが,エチニルエストラジオール 20 μg を含有する経口避妊薬を使用するとリスクは 0.9~1.7 倍に,エチニルエストラジオール 30~40 μg を含有する経口避妊薬を使用すると 1.3~2.3 倍に増加し,プロゲスチンの種類別のリスクの差は比較的小さかった.(デンマーク心臓協会から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 2257 - 66. )