The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 28, 2012 Vol. 366 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

進行癌患者に対する抗 PD-L1 抗体の安全性と活性
Safety and Activity of Anti-PD-L1 Antibody in Patients with Advanced Cancer

J.R. Brahmer and Others

背景

T 細胞の抑制性共受容体であるプログラム死 1(PD-1)蛋白と,そのリガンドの 1 つである PD-L1 は,腫瘍細胞の宿主免疫回避機構にきわめて重要な役割を果たす.PD-1 と PD-L1 の相互作用を遮断すると,in vitro では免疫機能が高まり,前臨床モデルでは抗腫瘍活性が仲介される.

方 法

多施設共同第 1 相試験において,特定の進行癌を有する患者に,抗 PD-L1 抗体(0.3 mg/kg 体重で開始し,10 mg/kg まで漸増)を静脈内投与した.抗 PD-L1 抗体は,14 日ごとに,6 週間を 1 サイクルとして最大 16 サイクル投与するか,完全奏効が得られるか疾患進行が確認されるまで投与した.

結 果

2012 年 2 月 24 日の時点で,非小細胞肺癌患者 75 例,黒色腫患者 55 例,大腸癌患者 18 例,腎細胞癌患者 17 例,卵巣癌患者 17 例,膵癌患者 14 例,胃癌患者 7 例,乳癌患者 4 例の計 207 例が,抗 PD-L1 抗体を投与されていた.治療期間中央値は 12 週間(2~111)であった.研究者が「治療に関連する」と判断したグレード 3 または 4 の毒性作用は,9%に発生した.効果を評価しえた患者のうち,客観的奏効(完全奏効または部分奏効)が認められたのは,黒色腫患者 52 例中 9 例,腎細胞癌患者 17 例中 2 例,非小細胞肺癌患者 49 例中 5 例,卵巣癌患者 17 例中 1 例であった.1 年以上追跡しえた 16 例のうち,8 例で 1 年以上奏効が持続した.

結 論

抗体を介して PD-L1 を遮断することで,非小細胞肺癌,黒色腫,腎細胞癌などの進行例において,持続的な腫瘍縮小(客観的奏効率 6~17%)と長期の疾患安定化(24 週の時点で 12~41%)が誘導された.(Bristol-Myers Squibb 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00729664)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 2455 - 65. )