The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

July 12, 2012 Vol. 367 No. 2

BRAF 変異を伴う悪性黒色腫におけるMEK 阻害による生存期間の延長
Improved Survival with MEK Inhibition in BRAF-Mutated Melanoma

K.T. Flaherty and Others

背景

進行期悪性黒色腫患者の 50%で,セリン・スレオニン蛋白キナーゼ B-RAF(BRAF)の活性化変異がみられる.選択的 BRAF 阻害薬による治療で,生存期間は化学療法よりも延長するが,効果は持続しないことが多い.この集団では,MEK 阻害が有望である可能性が先行試験で示されている.

方 法

第 3 相非盲検試験で,BRAF V600E 変異または BRAF V600K 変異を有する転移性悪性黒色腫患者 322 例を,経口選択的 MEK 阻害薬であるトラメチニブ(trametinib)投与または化学療法に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.トラメチニブ(2 mg 経口投与)は 1 日 1 回投与し,化学療法はダカルバジン(1,000 mg/m2 体表面積)またはパクリタキセル(175 mg/m2)を 3 週間ごとに静脈内投与した.化学療法群で病勢が進行した患者には,トラメチニブ投与へのクロスオーバーを可能とした.無増悪生存期間を主要エンドポイントとし,全生存期間を副次的エンドポイントとした.

結 果

無増悪生存期間中央値は,トラメチニブ群で 4.8 ヵ月,化学療法群で 1.5 ヵ月であった(トラメチニブ群の病勢進行または死亡のハザード比 0.45,95%信頼区間 [CI] 0.33~0.63,P<0.001).6 ヵ月の時点での全生存率は,トラメチニブ群で 81%,化学療法群ではクロスオーバーを行っても 67%であった(死亡のハザード比 0.54,95% CI 0.32~0.92,P=0.01).トラメチニブ群でもっとも高頻度にみられた毒性作用は発疹,下痢,末梢性浮腫であり,投与の中断・減量により管理しえた.また,低頻度ではあるが,無症候性かつ可逆的な心駆出率低下と,眼毒性が認められた.続発性の皮膚新生物は認められなかった.

結 論

トラメチニブは,化学療法と比較して,BRAF V600E 変異または BRAF V600K 変異を有する転移性悪性黒色腫患者の無増悪生存期間と全生存期間を延長させた.(GlaxoSmithKline 社から研究助成を受けた.METRIC ClinicalTrials.gov 番号:NCT01245062)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 107 - 14. )