October 18, 2012 Vol. 367 No. 16
アルツハイマー病におけるリスペリドン中止後の再発リスク
Relapse Risk after Discontinuation of Risperidone in Alzheimer's Disease
D.P. Devanand and Others
アルツハイマー病で精神症状または興奮/攻撃性に対し抗精神病薬が奏効した患者において,投薬中止後の症状の再発リスクは確立されていない.
アルツハイマー病で精神症状または興奮/攻撃性のみられる患者に,非盲検下でリスペリドンを 16 週間投与した.リスペリドン療法が奏効した患者を,引き続き次の 3 種類のレジメンのいずれかに二重盲検下で無作為に割り付けた:32 週間のリスペリドン継続療法(第 1 群),16 週間のリスペリドン療法後に 16 週間のプラセボ投与(第 2 群),32 週間のプラセボ投与(第 3 群).主要転帰は,精神症状または興奮の再発までの期間とした.
180 例の患者に,非盲検下でリスペリドンを投与した(平均用量 0.97 mg/日).精神症状と興奮の重症度は低下したが,錐体外路徴候に軽度の増加が認められた;112 例が治療奏効の基準を満たし,うち 110 例を無作為化した.無作為化後最初の 16 週での再発率は,プラセボ投与群のほうがリスペリドン投与群よりも高かった(60% [第 3 群 40 例中 24 例] 対 33% [第 1 群・第 2 群 70 例中 23 例];P=0.004;プラセボのハザード比 1.94;95%信頼区間 [CI] 1.09~3.45;P=0.02).続く 16 週での再発率は,リスペリドンからプラセボに切り替えた群のほうがリスペリドン投与を継続した群よりも高かった(48% [第 2 群 27 例中 13 例] 対 15% [第 1 群 13 例中 2 例];P=0.02;ハザード比 4.88;95% CI 1.08~21.98;P=0.02).無作為化後の有害事象発生率と死亡率に群間で有意差は認められなかったが,とくに最後の 16 週では比較の対象となる患者数が少なかった.
アルツハイマー病で精神症状または興奮に対し 4~8 ヵ月間のリスペリドン療法が奏効した患者では,リスペリドンの中止は再発リスクの上昇に関連した.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00417482)