December 6, 2012 Vol. 367 No. 23
出生前診断のための染色体マイクロアレイと核型分析との比較
Chromosomal Microarray versus Karyotyping for Prenatal Diagnosis
R.J. Wapner and Others
染色体マイクロアレイ解析は,児の発育遅延と先天奇形を評価するための主要な診断ツールとなっている.この研究の目的は,ルーチンの出生前診断として,染色体マイクロアレイ解析の精度,有効性,診断率の上昇を,核型分析と比較評価することである.
29 施設で出生前診断を受けることになった女性の検体が,中央の核型分析検査室に送られた.各検体は 2 つに分けられ,一方には標準的な核型分析が行われ,もう一方は,染色体マイクロアレイを行うため 4 ヵ所の検査室のいずれかに送られた.
4,406 例を登録した.出生前診断の適応は,母親の年齢が高いこと(46.6%),ダウン症候群スクリーニング検査での異常(18.8%),超音波検査での奇形(25.2%),その他(9.4%)であった.胎児検体 4,340 例(98.8%)でマイクロアレイ解析が成功した.検体の 87.9%は,組織培養せずに使用することができた.非モザイク型の検体 4,282 例のマイクロアレイ解析により,核型分析で同定されたすべての異数性と不均衡型再構成が同定されたが,均衡型転座と胎児の三倍体は同定されなかった.正常核型であった検体のうち,奇形が認められた例の 6.0%と,母親の高齢またはスクリーニング検査陽性のため適応となった例の 1.7%で,マイクロアレイ解析によって臨床的に重要な欠失または重複が明らかになった.
出生前診断検査において,染色体マイクロアレイ解析によって,核型分析と比較して臨床的に重要な細胞遺伝学的情報が追加的に得られ,異数性と不均衡型再構成の同定においては同程度の有効性が認められたが,均衡型転座と三倍体は同定されなかった.(米国ユニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01279733)