December 20, 2012 Vol. 367 No. 25
全身型若年性特発性関節炎に対するカナキヌマブの 2 つの無作為化試験
Two Randomized Trials of Canakinumab in Systemic Juvenile Idiopathic Arthritis
N. Ruperto and Others
インターロイキン-1 は,全身型若年性特発性関節炎(JIA)の病態発生にきわめて重要である.2 つの試験において,選択的完全ヒト抗インターロイキン-1β モノクローナル抗体カナキヌマブの有効性と安全性を評価した.
試験 1 では,全身型 JIA を有し,活動性の全身所見(発熱,活動性関節数 2 ヵ所以上,C 反応性蛋白 30 mg/L 超,グルココルチコイド投与量 1.0 mg/kg 体重/日以下)を示す 2~19 歳の患者を,二重盲検法にて,カナキヌマブ(4 mg/kg)の単回皮下投与またはプラセボ投与に無作為に割り付けた.主要転帰は,改変 JIA ACR 30 改善と称し,JIA のコア基準 6 項目中 3 項目以上で 30%以上の改善を認め,30%を超える悪化は 1 項目以下で,発熱が改善することと定義した.試験 2 では,非盲検下でカナキヌマブを 32 週投与したのち,改善を認めグルココルチコイドが漸減された患者を,カナキヌマブ治療の継続またはプラセボ投与に無作為に割り付けた.主要転帰は,全身型 JIA の再燃までの期間とした.
試験 1 の 15 日目に,改変 JIA ACR 30 改善を達成していた患者は,カナキヌマブ群のほうが多かった(43 例中 36 例 [84%] 対 プラセボ群 41 例中 4 例 [10%],P<0.001).試験 2 では,中止期に無作為化された 100 例(非盲検期の参加者 177 例中)では,カナキヌマブ投与を継続した患者のほうが,プラセボに切り替えた患者よりも再燃リスクが低かった(Kaplan–Meier 推定値による再燃がなかった患者の割合は,カナキヌマブ群 74% 対 プラセボ群 25%;ハザード比 0.36,P=0.003).グルココルチコイドの平均投与量は 0.34 mg/kg/日から 0.05 mg/kg/日に減少し,128 例中 42 例(33%)ではグルココルチコイドが中止された.マクロファージ活性化症候群が 7 例に出現した.感染症は,カナキヌマブ群のほうがプラセボ群よりも頻度が高かった.
これら 2 つの第 3 相試験により,活動性の全身所見を伴う全身型 JIA に対するカナキヌマブの有効性が示された.(Novartis Pharma 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00889863,NCT00886769)