多囊胞性卵巣症候群における不妊症に対するレトロゾールとクロミフェンとの比較
Letrozole versus Clomiphene for Infertility in the Polycystic Ovary Syndrome
R.S. Legro and Others
多囊胞性卵巣症候群の女性の不妊治療では,クロミフェンが現時点での第一選択薬であるが,レトロゾールなどのアロマターゼ阻害薬のほうが良好な妊娠転帰をもたらす可能性がある.
二重盲検多施設共同試験において,女性 750 例をレトロゾール投与またはクロミフェン投与に 1:1 の割合で無作為に割り付け,最大 5 サイクルの治療を行った.排卵と妊娠を確認するための受診日を設定し,妊娠した女性については経過を追跡した.多囊胞性卵巣症候群は,修正ロッテルダム基準(アンドロゲン過剰または多囊胞性卵巣のいずれかを伴う無排卵)により定義した.参加者は 18~40 歳で,少なくとも片方の卵管が開存しており,子宮腔が正常で,精子濃度が 1,400 万/mL 以上の男性パートナーがいた.女性とそのパートナーは,試験期間中,受胎を目的として定期的に性交することに同意した.主要評価項目は治療期間中の生児出産とした.
累積生児出産率はレトロゾール投与群のほうがクロミフェン投与群よりも高く(374 例中 103 例 [27.5%] 対 376 例中 72 例 [19.1%],P=0.007;生児出産の率比 1.44;95%信頼区間 1.10~1.87),先天奇形全体に有意差は認められなかったが,レトロゾール群では重大な先天奇形が 4 例認められたのに対し,クロミフェン群では 1 例であった(P=0.65).累積排卵率は,レトロゾール群のほうがクロミフェン群よりも高かった(治療 1,352 サイクル中 834 サイクル [61.7%] 対 1,425 サイクル中 688 サイクル [48.3%],P<0.001).流産(レトロゾール群における妊娠 154 例中 49 例 [31.8%],クロミフェン群における妊娠 103 例中 30 例 [29.1%]),および双胎妊娠(それぞれ 3.4%,7.4%)に群間で有意差は認められなかった.クロミフェンはほてりの発生率がより高いことに関連し,レトロゾールは疲労とめまいの発生率がより高いことに関連した.それ以外の有害事象の発現率は,2 群で同程度であった.
多囊胞性卵巣症候群の不妊症女性において,レトロゾールは,クロミフェンと比較して生児出産率と排卵率がより高いことに関連した.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00719186)