August 14, 2014 Vol. 371 No. 7
世界のナトリウム摂取量と心血管死亡
Global Sodium Consumption and Death from Cardiovascular Causes
D. Mozaffarian and Others
高ナトリウム摂取により血圧は上昇し,心血管疾患の危険因子となるが,ナトリウム摂取量が世界の心血管死亡に及ぼす影響は不明である.
世界のナトリウム摂取量を年齢別,性別,国別に定量化する目的で,66 ヵ国の人々(全世界の成人の 74.1%を占める)のナトリウム摂取量を尿中排泄量と食事から測定した調査のデータを収集した.ナトリウムが血圧に及ぼす影響については,無作為化介入 107 件を対象とした新たなメタ解析のデータから年齢別,人種別,高血圧の有無別に算出し,血圧が心血管死亡に及ぼす影響については,コホートのメタ解析から年齢別に算出した.死因別死亡については,2010 年の世界の疾病負担研究から算出した.比較リスク評価により,ナトリウム摂取量の基準を 2.0 g/日とした場合の,現在のナトリウム摂取量が心血管に及ぼす影響を,年齢別,性別,国別に推定した.
2010 年の世界の推定ナトリウム摂取量の平均は 3.95 g/日であり,地域別の平均の範囲は 2.18~5.51 g/日であった.世界で,年間 165 万例(95%不確実区間 [信頼区間] 110万~222 万)の心血管死亡が,基準値を超えるナトリウム摂取に起因するものであり,内訳は 61.9%が男性,38.1%が女性であった.このような死亡は,心血管死亡 10 例に約 1 例(9.5%)を占め,また 5 例に 4 例(84.3%)が低所得国および中所得国で発生し,5 例に 2 例(40.4%)は早期死亡(70 歳未満)であった.基準値を超えるナトリウム摂取と関連した心血管死亡率はグルジアでもっとも高く,ケニアでもっとも低かった.
このモデリング研究では,2010 年に発生した心血管死亡 165 万例が,2.0 g/日の基準値を超えるナトリウム摂取に起因していた.(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.)