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January 7, 2016 Vol. 374 No. 1

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妊娠高血圧腎症が疑われる女性における sFlt-1/PlGF 比の予測能
Predictive Value of the sFlt-1/PlGF Ratio in Women with Suspected Preeclampsia

H. Zeisler and Others

背景

妊娠女性では,妊娠高血圧腎症が臨床的に発症する前に可溶性 fms 様チロシンキナーゼ 1(sFlt-1)の胎盤増殖因子(PlGF)に対する比が上昇するが,妊娠高血圧腎症が疑われる女性におけるその予測能は明らかにされていない.

方 法

妊娠高血圧腎症が疑われる単胎妊娠女性(妊娠 24 週 0 日~36 週 6 日)において,短期間に妊娠高血圧腎症の有無を予測しうる血清 sFlt-1 の PlGF に対する比を導出し,検証することを目的とする前向き多施設共同観察研究を行った.主要目的は,sFlt-1/PlGF 比が低い場合(導出されたカットオフ値以下)に,1 回目の受診後 1 週間以内に妊娠高血圧腎症が除外されることを予測するかどうかと,高い場合(導出されたカットオフ値を超える)に,4 週間以内に妊娠高血圧腎症が診断されることを予測するかどうかを評価することとした.

結 果

導出コホート(500 例)において,sFlt-1/PlGF 比 38 を重要な予測能をもつカットオフ値として同定した.その後,別の 550 例を対象に妥当性を検証したコホートでは,sFlt-1/PlGF 比 38 以下の場合の陰性適中率(1 週間以内に妊娠高血圧腎症が除外される)は 99.3%(95%信頼区間 [CI] 97.9~99.9)であり,感度 80.0%(95% CI 51.9~95.7),特異度 78.3%(95% CI 74.6~81.7)であった.sFlt-1/PlGF 比が 38 を超えている場合,4 週間以内の妊娠高血圧腎症の診断について陽性適中率は 36.7%(95% CI 28.4~45.7)であり,感度 66.2%(95% CI 54.0~77.0),特異度 83.1%(95% CI 79.4~86.3)であった.

結 論

妊娠高血圧腎症が臨床的に疑われる女性において,sFlt-1/PlGF 比 38 以下は,短期間に妊娠高血圧腎症が除外されることの予測に使用できる.(Roche Diagnostics 社から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 13 - 22. )