April 14, 2016 Vol. 374 No. 15
腰部脊柱管狭窄症に対する固定術の無作為化比較対照試験
A Randomized, Controlled Trial of Fusion Surgery for Lumbar Spinal Stenosis
P. Försth and Others
腰部脊柱管狭窄症に対し,腰椎変性すべり症を伴うかどうかにかかわらず,除圧術に固定術を追加した場合の有効性は,比較対照試験では実証されていない.
1 椎間または隣接 2 椎間の腰部脊柱管狭窄症を有する 50~80 歳の 247 例を,除圧術に固定術を追加する群(固定術群)と,除圧術を単独で行う群(除圧術単独群)に無作為に割り付けた.無作為化は,術前に腰椎変性すべり症を有していた患者(135 例)と有していなかった患者で層別化して行った.転帰は,患者によって報告された転帰指標,6 分間歩行試験,医療経済的評価を用いて評価した.主要転帰は,術後 2 年の時点でのオスウェストリー障害指数(ODI;0~100 で,スコアが高いほど重症度が高いことを示す)のスコアとした.主要解析は per-protocol 解析を行い,割り付けられた治療を受けなかった 14 例と,追跡不能となった 5 例を除外した.
術後 2 年の時点で,ODI スコアの平均(固定術群 27,除圧術単独群 24;P=0.24)にも,6 分間歩行距離(固定術群 397 m,除圧術単独群 405 m;P=0.72)にも,群間で有意差は認められなかった.腰椎変性すべり症を有していた患者と有していなかった患者とのあいだで,結果は同様であった.5 年間追跡され,術後 5 年の解析の対象として適格であった患者では,術後 5 年の臨床転帰に群間で有意差は認められなかった.平均入院期間は,固定術群が 7.4 日,除圧術単独群が 4.1 日であった(P<0.001).固定術群では,除圧術単独群と比較して手術時間が長く,出血量が多く,手術費用が高かった.平均追跡期間 6.5 年のあいだに腰椎部の追加手術が行われた割合は,固定術群が 22%,除圧術単独群が 21%であった.
腰部脊柱管狭窄症の患者に,腰椎変性すべり症を伴うかどうかにかかわらず,除圧術に固定術を追加しても,術後 2 年と 5 年の時点での臨床転帰は,除圧術を単独で行った場合と比較して良好ということはなかった.(ウプサラ大学医学教育研究協力協定ほかから研究助成を受けた. スウェーデン脊柱管狭窄症試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01994512)