April 14, 2016 Vol. 374 No. 15
腰椎すべり症に対する椎弓切除術+固定術と椎弓切除術単独との比較
Laminectomy plus Fusion versus Laminectomy Alone for Lumbar Spondylolisthesis
Z. Ghogawala and Others
脊柱管狭窄症を伴うグレード I の症候性腰椎変性すべり症患者に対して,除圧椎弓切除術に,インストゥルメンテーション(チタン合金製ロッドに強固な椎弓根スクリューを取り付ける)を用いた腰椎固定術を追加することの相対的な有効性は明らかにされていない.
無作為化比較対照試験で,安定した腰椎変性すべり症(すべりの程度 3~14 mm)と症候性腰部脊柱管狭窄症を有する 50~80 歳の患者を,除圧椎弓切除術を単独で行う群(除圧術単独群)と,椎弓切除術にインストゥルメンテーションを用いた後側方固定術を追加する群(固定術群)に割り付けた.主要評価項目は,術後 2 年の時点での 36 項目の健康調査票短縮版(SF-36;0~100 で,スコアが高いほど QOL が高いことを示す)の身体的健康度サマリースコアの変化とした.副次的評価項目は,オスウェストリー障害指数(ODI;0~100 で,スコアが高いほど腰痛関連障害の重症度が高いことを示す)のスコアとした.追跡期間は 4 年とした.
66 例(平均 67 歳,女性 80%)が無作為化された.追跡率は,術後 1 年で 89%,2 年で 86%,4 年で 68%であった.術後 2 年の時点での SF-36 身体的健康度サマリースコアの上昇は,固定術群のほうが除圧術単独群よりも大きかった(15.2 対 9.5,差 5.7,95%信頼区間 0.1~11.3,P=0.046).術後 3 年と 4 年の時点でも,SF-36 身体的健康度サマリースコアの上昇は,固定術群のほうが除圧術単独群よりも大きいままであった(いずれも P=0.02).腰痛関連障害の減少に関して,術後 2 年の時点での ODI スコアの変化に群間で有意差は認められなかった(除圧術単独群 -17.9,固定術群 -26.3;P=0.06).固定術群では,除圧術単独群よりも出血量が多く,入院期間が長かった(いずれの比較も P<0.001).累積再手術率は,固定術群が 14%,除圧術単独群が 34%であった(P=0.05).
グレード I の腰椎変性すべり症患者では,椎弓切除術に腰椎固定術を追加することで得られる身体的健康関連 QOL 全般の改善は,椎弓切除術単独と比較してわずかに大きいだけであったが,臨床的に意味のある改善であった.(ジーン・アンド・デビッド・ウォレス財団ほかから研究助成を受けた.SLIP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00109213)