重症患者の介護者の 1 年転帰
One-Year Outcomes in Caregivers of Critically Ill Patients
J.I. Cameron and Others
重症疾患の生存者の介護者を支援するための資源はほとんどなく,その結果として,介護者自身の健康が損なわれることがある.介護者および患者の特性のうち,患者が集中治療室(ICU)から退室後 1 年間における介護者の健康転帰との関連が認められるのはどれかを明らかにするために,それぞれの特性を検討した.
ICU で人工換気が 7 日以上行われた患者の介護者 280 人を前向きに登録した.病院データと自己記入式質問票を用いて,介護者の抑うつ症状,精神的健康,健康関連 QOL,自分の生活を管理できているという感覚,介護が他の活動に及ぼす影響などの,介護者および患者の特性に関する情報を収集した.評価は,ICU 退室後 7 日,3 ヵ月,6 ヵ月,12 ヵ月の時点で行った.
介護者の平均年齢は 53 歳で,70%が女性であり,61%が配偶者の介護をしていた.介護者の大部分(退室当初は 67%,1 年の時点で 43%)が,高い抑うつ症状を報告した.介護者の 84%で,抑うつ症状は時間とともに,少なくとも部分的には減少したが,16%では減少しなかった.介護者側の因子で,精神的健康の不良な転帰と有意な関連が認められたものは,年齢がより低いこと,介護が他の活動に及ぼす影響がより大きいこと,社会的支援がより少ないこと,自分の生活を管理できているという感覚がより少ないこと,個人的成長がより小さいことであった.患者側の因子で,介護者の転帰と経時的に一貫して関連が認められたものはなかった.
この研究では,重症患者の介護者の大半から高い抑うつ症状が報告された.それらは通常,最長で 1 年間持続し,一部の介護者では抑うつ症状は減少しなかった.(カナダ健康研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00896220)