The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 4, 2016 Vol. 374 No. 5

生体腎ドナー候補者における腎不全リスク予測
Kidney-Failure Risk Projection for the Living Kidney-Donor Candidate

M.E. Grams and Others

背景

生体腎ドナー候補者の評価は,末期腎不全(ESRD)の危険因子を個別にスクリーニングすることにかかっている.ドナー選択への経験的アプローチを支援するため,候補となる人の複数の健康特性を同時に組み込み,その人が腎臓を提供しなかった場合に予想される ESRD の長期リスクを推定するツールを開発した.

方 法

7 つの一般集団コホートのメタ解析から予測し,米国人口の ESRD 発生率および死亡率で調整したリスク関連性を用いて,ドナー候補者各々の 10 項目の人口統計学的・健康特性に基づき,腎臓を提供しなかった場合の ESRD の推定長期発生率を予測した.続いて,15 年間の ESRD リスク予測値を,米国の生体腎ドナー52,998 人で観察されたリスクと比較した.

結 果

7 コホートの参加者のうち,4,933,314 人を中央値 4~16 年間追跡した.年齢をマッチさせた腎ドナーと健康特性が類似している 40 歳の人が,腎臓を提供しなかった場合の ESRD の 15 年間のリスク予測値は,人種と性別によって異なり,黒人男性では 0.24%,黒人女性では 0.15%,白人男性では 0.06%,白人女性では 0.04%であった.リスク予測値は,より低値の推算糸球体濾過量,より高値の尿中アルブミン,高血圧,現在喫煙者・過去喫煙者,糖尿病,肥満の場合に,より高くなった.モデルに基づく生涯予測では,ESRD リスクはもっとも若い年齢層,とくに若年黒人で高かった.米国の腎ドナーにおいて腎提供後 15 年間に観察されたリスクは,腎臓を提供しなかった場合に予測されるリスクの 3.5~5.3 倍高かった.

結 論

複数の人口統計学的・健康特性を同時に用いることで,生体腎ドナー候補者において予測される ESRD の長期リスクが推定され,腎ドナーの承諾基準の情報となる可能性がある.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 411 - 21. )