The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 25, 2016 Vol. 374 No. 8

外科研修における勤務時間の柔軟性に関する全米クラスター無作為化試験
National Cluster-Randomized Trial of Duty-Hour Flexibility in Surgical Training

K.Y. Bilimoria and Others

背景

外科レジデントの勤務時間に関する現在の方針が,患者の転帰,レジデントの教育,レジデントの健康に及ぼす影響については,懸念が残っている.

方 法

米国の 117 の一般外科研修プログラムを対象に,全米クラスター無作為化実践的非劣性試験を行った(2014~15 年の 1 学年度).プログラムを,米国卒後医学教育認定評議会(ACGME)による現在の勤務時間方針(標準方針群)と,最長シフト時間およびシフト間隔に関する規則を適用しない,より柔軟な方針(柔軟方針群)に無作為に割り付けた.評価項目は,30 日の時点での術後死亡または重篤な合併症の発生率(主要転帰),その他の術後合併症,およびレジデントの健康と教育・患者ケアに対する認識と満足度などとした.

結 果

患者 138,691 例のデータの解析において,柔軟で制限の少ない勤務時間方針に,死亡または重篤な合併症の発生率上昇との関連は認められず(柔軟方針群 9.1%,標準方針群 9.0%;P=0.92:柔軟方針群の未補正オッズ比 0.96,92%信頼区間 0.87~1.06,P=0.44:非劣性基準が満たされた),また,副次的術後転帰の発生率上昇との関連も認められなかった.レジデント 4,330 人のうち,柔軟方針群のレジデントが,標準方針群のレジデントと比較して教育の質全般に不満を有する割合(柔軟方針群 11.0%,標準方針群 10.7%;P=0.86)や,健康全般に不満を有する割合(それぞれ 14.9%,12.0%;P=0.10)が有意に大きいということはなかった.柔軟方針群のレジデントでは,標準方針群のレジデントと比較して,勤務時間方針が患者安全性,ケアの連続性,プロ意識,レジデント教育のさまざまな面に負の影響があると認識する割合が低かったが,個人的活動に負の影響があると認識する割合は高かった.疲労がレジデント自身の安全性または患者の安全性に影響を及ぼしているという認識に,群間で有意差は認められなかった.柔軟方針群のレジデントでは,標準方針群のレジデントと比較して,手術中に退出した割合(7.0% 対 13.2%,P<0.001)と, 対処中の患者の問題を引き継いだ割合(32.0% 対 46.3%,P<0.001)が低かった.

結 論

外科レジデントの勤務時間に関する柔軟で制限の少ない方針は,標準的な方針と比較して,患者転帰については非劣性であり,レジデントの健康全般と教育の質全般に対する満足度に有意差は認められなかった.(FIRST 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02050789)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 713 - 27. )