The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

Share

RSS

日本語アブストラクト

February 25, 2016 Vol. 374 No. 8

冠動脈手術前のアスピリン投与の中止と継続との比較
Stopping vs.Continuing Aspirin before Coronary Artery Surgery

P.S. Myles and Others

背景

冠動脈疾患患者の大半は,心筋梗塞,脳卒中,死亡の一次予防または二次予防にアスピリンを投与される.冠動脈手術を受ける患者において,アスピリン投与は出血のリスクを増大させるが,術前にアスピリン投与を中止すべきかどうかは明らかにされていない.

方 法

2×2 要因試験デザインを用いて,冠動脈手術を受ける予定で周術期合併症のリスクがある患者を,アスピリン投与またはプラセボ投与,トラネキサム酸投与またはプラセボ投与に無作為に割り付けた.ここではアスピリン試験の結果を報告する.術前に患者を,アスピリン 100 mg 投与またはプラセボ投与に無作為に割り付けた.主要評価項目は,術後 30 日以内の死亡と血栓性合併症(非致死的心筋梗塞,脳卒中,肺塞栓症,腎不全,腸梗塞)の複合とした.

結 果

適格患者 5,784 例のうち 2,100 例を登録し,1,047 例をアスピリン投与に,1,053 例をプラセボ投与に無作為に割り付けた.主要評価項目イベントは,アスピリン群の 202 例(19.3%)とプラセボ群の 215 例(20.4%)に発生した(相対リスク 0.94,95%信頼区間 0.80~1.12,P=0.55).再手術にいたった重大な出血はアスピリン群の 1.8%とプラセボ群の 2.1%に発生し(P=0.75),心タンポナーデはそれぞれ 1.1%と 0.4%に発生した(P=0.08).

結 論

冠動脈手術を受ける患者では,術前のアスピリン投与によって,プラセボ投与と比較して,死亡および血栓性合併症のリスクが低下することも,出血のリスクが上昇することもなかった.(オーストラリア国立保健医療研究審議会ほかから研究助成を受けた.Australia New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12605000557639)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 728 - 37. )