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March 3, 2016 Vol. 374 No. 9

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単純性皮膚膿瘍に対するトリメトプリム・スルファメトキサゾールとプラセボとの比較
Trimethoprim–Sulfamethoxazole versus Placebo for Uncomplicated Skin Abscess

D.A. Talan and Others

背景

米国では,皮膚膿瘍による救急受診がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の出現に伴い増加しつつある.切開排膿を受ける患者における抗菌薬の補助的投与の役割は明らかにされていない.

方 法

米国内の 5 ヵ所の救急部において,単純性膿瘍に対し切開排膿を受ける,12 歳を超える外来患者を対象に,トリメトプリム・スルファメトキサゾール(それぞれ 320 mg,1,600 mg を 1 日 2 回,7 日間)にプラセボに対する優越性が認められるかどうかを検討することを目的として,無作為化試験を行った.主要転帰は膿瘍の臨床的治癒とし,治療期間終了後 7~14 日の時点で評価した.

結 果

患者の年齢中央値は 35 歳(14~73)であった.患者の 45.3%が創傷培養で MRSA 陽性であった.修正 intention-to-treat 集団において,膿瘍の臨床的治癒が認められたのは,トリメトプリム・スルファメトキサゾール群では 630 例中 507 例(80.5%)であったのに対し,プラセボ群では 617 例中 454 例(73.6%)であった(差 6.9 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 2.1~11.7,P=0.005).per-protocol 集団において,臨床的治癒が認められたのは,トリメトプリム・スルファメトキサゾール群では 524 例中 487 例(92.9%)であったのに対し,プラセボ群では 533 例中 457 例(85.7%)であった(差 7.2 パーセントポイント,95% CI 3.2~11.2,P<0.001).per-protocol 集団において,トリメトプリム・スルファメトキサゾールにはほとんどの副次的転帰についてプラセボに対する優越性が認められ,治療期間終了後 7~14 日の時点における外科的排膿処置の追加施行率が低く(3.4% 対 8.6%,差 -5.2 パーセントポイント,95% CI -8.2~-2.2),別の部位での新規皮膚感染症発生率が低く(3.1% 対 10.3%,差 -7.2 パーセントポイント,95% CI -10.4~-4.1),家族の感染症発生率が低かった(1.7% 対 4.1%,差 -2.4 パーセントポイント,95% CI -4.6~-0.2).トリメトプリム・スルファメトキサゾール群は,プラセボ群と比較して消化器系副作用(大半が軽度)がわずかに多かった.治療期間終了後 7~14 日の時点までに,トリメトプリム・スルファメトキサゾール群 524 例中 2 例(0.4%)とプラセボ群 533 例中 2 例(0.4%)で侵襲性感染症が発生した.また治療期間終了後 42~56 日の時点までに,トリメトプリム・スルファメトキサゾール群の 1 例(0.2%)で侵襲性感染症が発生した.

結 論

MRSA が流行している状況で,皮膚膿瘍の切開排膿を受けた患者にトリメトプリム・スルファメトキサゾールを投与することで,プラセボと比較して高い治癒率が得られた.(米国国立アレルギー感染症研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00729937)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 823 - 32. )