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March 3, 2016 Vol. 374 No. 9

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小児癌の 5 年生存例における晩期死亡率の低下
Reduction in Late Mortality among 5-Year Survivors of Childhood Cancer

G.T. Armstrong and Others

背景

1970 年代・80 年代に小児癌と診断された患者のうち,5 年生存例の 18%はその後 25 年以内に死亡している.この数十年で,癌治療は,生命を脅かす晩期有害作用を減少させることを目標として調整されてきている.

方 法

小児癌生存者研究コホートから,1970~99 年の期間に治療が開始され,5 年以上生存した小児癌(すなわち 21 歳以前に診断された癌)の患者 34,033 例を対象に,晩期死亡率を評価した.追跡期間中央値は 21 年(5~38)であった.累積発生率と区分的指数関数モデルを用いて,健康に関連する原因(すなわち原発癌の再発または進行と外因は除くが,癌治療の晩期有害作用は含める状態)による死亡の年代別の相対的割合と 95%信頼区間を推定するため,関連する人口統計学的因子と疾患因子を評価した.

結 果

調査対象期間中に発生した死亡 3,958 例のうち,健康に関連する原因による死亡は 1,618 例(41%)で,原因の内訳は続発性腫瘍 746 例,心臓 241 例,肺 137 例,その他 494 例であった.15 年の時点で,全死因死亡率の低下(1970 年代前半の 12.4%から 90 年代は 6.0%へ低下,傾向性の P<0.001)と,健康に関連する原因による死亡率の低下(3.5%から 2.1%へ低下,傾向性の P<0.001)が認められた.これらの低下は,続発性腫瘍が原因の死亡率の低下(P<0.001),心臓が原因の死亡率の低下(P<0.001),肺が原因の死亡率の低下(P=0.04)に起因するものであった.10 年ごとの治療の変化は,急性リンパ性白血病に対する頭蓋放射線照射施行率の低下(1970 年代で 85%,80 年代で 51%,90 年代で 19%),ウィルムス腫瘍に対する腹部放射線照射施行率の低下(それぞれ 78%,53%,43%),ホジキンリンパ腫に対する胸部放射線照射施行率の低下(それぞれ 87%,79%,61%),およびアントラサイクリン系薬曝露量の減少などであった.急性リンパ性白血病およびウィルムス腫瘍の生存例では,治療曝露の減少が晩期死亡率の低下に関連していた.

結 論

治療曝露を減少させる戦略が,小児癌の 5 年生存例で認められた晩期死亡率の低下に寄与していた.(米国国立癌研究所,米国・レバノン・シリア共同慈善基金から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 833 - 42. )