December 8, 2016 Vol. 375 No. 23
高リスク腎細胞癌における腎摘出後の術後補助療法としてのスニチニブ
Adjuvant Sunitinib in High-Risk Renal-Cell Carcinoma after Nephrectomy
A. Ravaud and Others
スニチニブ(血管内皮増殖因子経路阻害薬)は転移性腎細胞癌の有効な治療薬である.腎摘出後の再発リスクが高い限局性腎細胞癌患者において,スニチニブの有効性と安全性を明らかにすることを試みた.
第 3 相無作為化二重盲検試験において,限局性の高リスク淡明細胞型腎細胞癌患者 615 例を,スニチニブ群(50 mg/日)とプラセボ群に割り付け,4 週間投与し,2 週間休薬するスケジュールで 1 年間,または,疾患の再発,忍容できない毒性の発現,同意の撤回まで投与した.主要エンドポイントは,盲検下での独立した中央判定に基づく無病生存とした.副次的エンドポイントは,担当医の評価による無病生存,全生存,安全性などとした.
無病生存期間中央値は,スニチニブ群 6.8 年(95%信頼区間 [CI] 5.8~未到達),プラセボ群 5.6 年(95% CI 3.8~6.6)であった(ハザード比 0.76,95% CI 0.59~0.98,P=0.03).全生存データは,データカットオフ時点では確定していなかった.有害事象による投与量の減量の頻度は,スニチニブ群がプラセボ群よりも高く(34.3% 対 2%),中断(46.4% 対 13.2%),中止(28.1% 対 5.6%)についても同様であった.グレード 3 または 4 の有害事象の頻度は,スニチニブ群(グレード 3 は 48.4%,グレード 4 は 12.1%)のほうが,プラセボ群(グレード 3 は 15.8%,グレード 4 は 3.6%)よりも高かった.重篤な有害事象の発現率は 2 群で同程度であり(スニチニブ群 21.9% 対 プラセボ群 17.1%),毒性による死亡はなかった.
腎摘出後の再発リスクが高い限局性淡明細胞型腎細胞癌患者で,無病生存期間中央値は,スニチニブ群のほうがプラセボ群よりも有意に長かったが,毒性発現率がより高いという代償を伴った.(Pfizer 社から研究助成を受けた.S-TRAC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00375674)