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November 1, 2018 Vol. 379 No. 18

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特発性肺線維症患者に対するニンテダニブとシルデナフィルとの併用
Nintedanib plus Sildenafil in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis

M. Kolb and Others

背景

ニンテダニブは特発性肺線維症(IPF)の承認治療薬である.既報の試験のサブグループ解析により,シルデナフィルは,一酸化炭素肺拡散能(DLCO)が著明に低下している IPF 患者の酸素化,DLCO で測定したガス交換,症状,QOL に利益をもたらす可能性があることが示唆されている.今回の試験ではこの見解を検証した.

方 法

IPF を有し,DLCO が予測値の 35%以下である患者を,24 週にわたり,ニンテダニブ 150 mg を 1 日 2 回,シルデナフィル 20 mg を 1 日 3 回投与する群(ニンテダニブ+シルデナフィル群)と,ニンテダニブ 150 mg を 1 日 2 回,プラセボを 1 日 3 回投与する群(ニンテダニブ群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,12 週の時点におけるセントジョージ呼吸器質問票(SGRQ)の総スコア(0~100 で,スコアが高いほど健康関連 QOL が低いことを示す)の,ベースラインからの変化量とした.副次的評価項目は呼吸困難の指標,安全性などとした.

結 果

274 例を無作為化した.12 週の時点における SGRQ 総スコアのベースラインからの補正後の平均変化量に,ニンテダニブ+シルデナフィル群とニンテダニブ群とのあいだに有意差は認められなかった(それぞれ -1.28 点と -0.77 点,P=0.72).カリフォルニア大学サンディエゴ校息切れ質問票を用いて評価した呼吸困難に関して,シルデナフィル投与による利益は認められなかった.先行試験と比較して,新たな安全性シグナルは認められなかった.

結 論

IPF を有し,DLCO が予測値の 35%以下である患者では,ニンテダニブとシルデナフィルを併用しても,ニンテダニブ単独と比較して有意な利益は認められなかった.この患者集団では,いずれかの治療レジメンによる新たな安全性シグナルは確認されなかった.(Boehringer Ingelheim 社から研究助成を受けた.INSTAGE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02802345)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1722 - 31. )