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March 28, 2019 Vol. 380 No. 13

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リファンピン耐性結核に対するより短期のレジメンの試験
A Trial of a Shorter Regimen for Rifampin-Resistant Tuberculosis

A.J. Nunn and Others

背景

バングラデシュで行われたコホート研究では,多剤耐性結核に対し,2011 年に世界保健機関(WHO)が推奨した期間よりも短いレジメンで既存薬の投与を受けた患者において期待できる治癒率が示された.

方 法

フルオロキノロン系とアミノグリコシド系に感受性を示すリファンピン(rifampin)耐性結核の患者を対象に,第 3 相非劣性試験を行った.参加者を,高用量のモキシフロキサシンを含む短期レジメン(9~11 ヵ月)を受ける群と,2011 年の WHO ガイドラインに従った長期レジメン(20 ヵ月)を受ける群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性転帰は 132 週の時点での良好な状態とし,結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の培養が 132 週とその前の時点で陰性で,その間に陽性はなく,それ以前に不良な転帰もないことと定義した.非劣性は,良好な状態を報告した患者の割合の群間差の 95%信頼限界上限が 10 パーセントポイント以下で示されることとした.

結 果

無作為化された 424 例のうち,383 例が修正 intention-to-treat 集団に組み入れられた.良好な状態は長期レジメン群の 79.8%と短期レジメン群の 78.8%で報告され,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の有無で補正すると差は 1.0 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] -7.5~9.5)であった(非劣性の P=0.02).非劣性に関する結果は,per-protocol 集団の 321 例でも一致していた(補正後の差 -0.7 パーセントポイント,95% CI -10.5~9.1).グレード 3 以上の有害事象は,長期レジメン群の 45.4%と短期レジメン群の 48.2%で発現した.QT 間隔または補正 QT 間隔(Fridericia 式で補正)が 500 msec 以上延長した患者の割合は,短期レジメン群では 11.0%であったのに対し,長期レジメン群では 6.4%であった(P=0.14).短期レジメン群ではその発生がより多かったため,患者を慎重に観察し,一部では投薬を調節した.死亡は短期レジメン群の 8.5%と長期レジメン群の 6.4%で発生し,フルオロキノロン系またはアミノグリコシド系に対する耐性の獲得はそれぞれ 3.3%と 2.3%で認められた.

結 論

フルオロキノロン系とアミノグリコシド系に感受性を示すリファンピン耐性結核の患者において,短期レジメンは,主要有効性転帰に関して長期レジメンに対して非劣性であり,安全性に関しては長期レジメンと同等であった.(米国国際開発庁ほかから研究助成を受けた.Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN78372190,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02409290)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1201 - 13. )