January 10, 2019 Vol. 380 No. 2
冠動脈バイパスに用いる静脈グラフトの内視鏡下採取と切開採取の無作為化試験
Randomized Trial of Endoscopic or Open Vein-Graft Harvesting for Coronary-Artery Bypass
M.A. Zenati and Others
大伏在静脈グラフトは,冠動脈バイパス術(CABG)でもっともよく用いられる導管である.静脈グラフトの採取法が長期臨床転帰に及ぼす影響は,十分に明らかにされていない.
退役軍人省が運営する 16 ヵ所の心臓外科センターで CABG を受ける患者を,静脈グラフトの切開採取と内視鏡下採取に無作為に割り付けた.主要転帰は,全死因死亡,非致死的心筋梗塞,再血行再建などの主要有害心イベントの複合とした.下肢創部合併症も評価した.
1,150 例が無作為化された.中央値 2.78 年の追跡期間中に,主要転帰は切開採取群の 89 例(15.5%)と内視鏡下採取群の 80 例(13.9%)で発生した(ハザード比 1.12,95%信頼区間 [CI] 0.83~1.51,P=0.47).切開採取群の 46 例(8.0%)と内視鏡下採取群の 37 例(6.4%)が死亡した(ハザード比 1.25,95% CI 0.81~1.92).心筋梗塞は,切開採取群の 34 例(5.9%)と内視鏡下採取群の 27 例(4.7%)で発生し(ハザード比 1.27,95% CI 0.77~2.11),再血行再建は,切開採取群の 35 例(6.1%)と内視鏡下採取群の 31 例(5.4%)で発生した(ハザード比 1.14,95% CI 0.70~1.85).下肢創部感染は,切開採取群の 18 例(3.1%)と内視鏡下採取群の 8 例(1.4%)で発生した(相対リスク 2.26,95% CI 0.99~5.15).
CABG を受ける患者では,静脈グラフトの切開採取と内視鏡下採取とのあいだで,主要有害心イベントのリスクに有意差は認められなかった.(米国退役軍人省研究開発局共同研究プログラムから研究助成を受けた.REGROUP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01850082)