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January 10, 2019 Vol. 380 No. 2

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腎臓病に対するエクソーム解析の診断上の有用性
Diagnostic Utility of Exome Sequencing for Kidney Disease

E.E. Groopman and Others

背景

エクソーム解析は,一部の臨床領域で第一選択の診断法として台頭してきているが,その有用性は成人の体質性疾患の大部分ではまだ検討されていない.そのような異常の一つ,慢性腎臓病は,地球上で 10 人に 1 人を超える割合で罹患している.

方 法

エクソーム解析と診断解析を,慢性腎臓病患者の 2 つのコホート計 3,315 例で行った.診断能を評価し,また,詳細な臨床データが入手可能な患者では,診断に有用な所見,他の医学的に重要な所見の臨床的意義を評価した.

結 果

全体のうち,3,037 例(91.6%)が 21 歳を超えており,1,179 例(35.6%)が非ヨーロッパ系であると報告した.診断に有用な変異体は 3,315 例中 307 例(9.3%)で検出され,66 種類の異なる単一遺伝子の疾患が含まれた.検出された疾患のうち,39 種類(59%)は 1 例のみで認められた.診断に有用な変異体は,先天性腎疾患または囊胞性腎疾患(531 例中 127 例 [23.9%]),原因不明の腎障害(281 例中 48 例 [17.1%])など,臨床的に定義された分類すべてで検出された.評価した 2,187 例のうち,34 例(1.6%)に治療が有効な遺伝子所見が認められた.それらは患者の腎障害とは関連しないものであったが,下位専門分野への紹介にいたり,腎臓の管理に有用な情報が得られたと考えられた.

結 論

2 つのコホートを合わせて 3,000 例を超える慢性腎臓病患者で行ったエクソーム解析により,症例の 10%足らずで遺伝子診断が得られた.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 142 - 51. )