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May 2, 2019 Vol. 380 No. 18

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再発性または難治性の多発性骨髄腫に対する抗 BCMA CAR-T 細胞療法 bb2121
Anti-BCMA CAR T-Cell Therapy bb2121 in Relapsed or Refractory Multiple Myeloma

N. Raje and Others

背景

B 細胞成熟抗原(BMCA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T 細胞療法である bb2121 は,多発性骨髄腫の治療法となる可能性が前臨床試験で示唆されている.

方 法

再発または難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした第 1 相試験で,bb2121 を,用量漸増期には CAR 陽性 T 細胞 50×106 個,150×106 個,450×106 個,800×106 個のいずれかで単回輸注を行い,用量拡大期には CAR 陽性 T 細胞 150×106~450×106 個で単回輸注を行った.患者は,プロテアソーム阻害薬と免疫調節薬を含む 3 種類以上の治療歴があるか,両方の薬剤クラスに抵抗性であった.主要エンドポイントは安全性とした.

結 果

bb2121 の輸注を受けた連続する最初の 33 例の結果を報告する.データカットオフ日は,最後の輸注日から 6.2 ヵ月後であった.グレード 3 以上でとくに頻度の高かった有害事象は血液毒性であり,好中球減少症(85%),白血球減少症(58%),貧血(45%),血小板減少症(45%)などであった.25 例(76%)がサイトカイン放出症候群を発症し,23 例(70%)がグレード 1 または 2,2 例(6%)がグレード 3 であった.神経毒性は 14 例(42%)に認められ,13 例(39%)がグレード 1 または 2 であった.1 例(3%)は可逆的なグレード 4 の神経毒性であった.客観的奏効率は 85%で,うち 15 例(45%)は完全奏効であった.完全奏効を示した 15 例のうち 6 例で再発した.無増悪生存期間の中央値は 11.8 ヵ月(95%信頼区間 6.2~17.8)であった.奏効(部分奏効以上)が得られ,微小残存病変(MRD)を評価しえた 16 例全例が MRD 陰性の状態(有核細胞 10-4 個以下)であった.CAR-T 細胞の増加は奏効と関連しており,CAR-T 細胞は輸注 1 年後まで持続した.

結 論

再発または難治性の多発性骨髄腫患者に対する BMCA を標的とした細胞免疫療法の最初の毒性プロファイルを報告した.抗腫瘍活性が確認された.(ブルーバード バイオ社,セルジーン社から研究助成を受けた.CRB-401 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02658929)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1726 - 37. )