冠動脈疾患における灌流磁気共鳴または冠血流予備量比
Magnetic Resonance Perfusion or Fractional Flow Reserve in Coronary Disease
E. Nagel and Others
安定狭心症の患者には,血行再建の適応を判断するために 2 種類の戦略が用いられることが多い.一つは心筋灌流心血管磁気共鳴画像法(MRI)で,もう一つは侵襲的血管造影法と冠血流予備量比(FFR)測定である.主要有害心イベントに関して,心血管 MRI に基づく戦略が,FFR に基づく戦略に対し非劣性であるかどうかは確立されていない.
非盲検多施設共同臨床有効性試験で,定型的狭心症を有し,心血管危険因子を 2 つ以上有するかトレッドミル運動負荷試験陽性の 918 例を,心血管 MRI に基づく戦略または FFR に基づく戦略に無作為に割り付けた.心血管 MRI 群では心筋の 6%以上に虚血を認めた患者,FFR 群では FFR が 0.8 以下であった患者に血行再建を推奨した.複合主要転帰は 1 年以内の死亡,非致死的心筋梗塞,標的血管の血行再建とした.非劣性マージンはリスク差 6 パーセントポイントとした.
心血管 MRI 群 454 例中 184 例(40.5%)と,FFR 群 464 例中 213 例(45.9%)が,血行再建を推奨する基準を満たした(P=0.11).指標とする血行再建を受けた患者の数は心血管 MRI 群のほうが FFR 群よりも少なかった(162 例 [35.7%] 対 209 例 [45.0%],P=0.005).主要転帰は,心血管 MRI 群 421 例中 15 例(3.6%)と FFR 群 430 例中 16 例(3.7%)に発生し(リスク差 -0.2 パーセントポイント,95%信頼区間 -2.7~2.4),非劣性の閾値に達する結果であった.12 ヵ月の時点で,狭心症の発作を認めなかった患者の割合に 2 群間で有意差は認められなかった(心血管 MRI 群 49.2%と FFR 群 43.8%,P=0.21).
安定狭心症と冠動脈疾患の危険因子を有する患者において,心筋灌流心血管 MRI は,冠動脈血行再建率が FFR よりも低いことと関連し,主要有害心イベントに関して FFR に対し非劣性であった.(英国国立医療研究機構ガイ・アンド・セントトーマス生物医学研究センターほかから研究助成を受けた.MR-INFORM 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01236807)