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June 27, 2019 Vol. 380 No. 26

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重症患者におけるデクスメデトミジンを用いた早期鎮静
Early Sedation with Dexmedetomidine in Critically Ill Patients

Y. Shehabi and Others

背景

デクスメデトミジンは,ある程度の覚醒しやすさを保ちながら鎮静をもたらし,集中治療室(ICU)患者の人工呼吸管理期間とせん妄を減らす可能性がある.人工呼吸管理を受けている患者に対するデクスメデトミジンの単独のまたは第一選択の鎮静薬としての使用について,広範な研究は行われていない.

方 法

非盲検無作為化試験において,ICU で人工呼吸管理を受けている時間が 12 時間未満で,翌々日以降も継続されると予想された重症成人を組み入れ,デクスメデトミジンを単独のまたは第一選択の鎮静薬として投与する群と,通常の治療(プロポフォール,ミダゾラム,その他の鎮静薬)を行う群に割り付けた.リッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS;-5 [無反応]~+4 [好戦的])での目標鎮静スコアは -2~+1(浅い鎮静~落ち着きがない)とした.主要評価項目は 90 日の時点での全死因死亡率とした.

結 果

4,000 例を組み入れた.適格性の判断から無作為化までの時間の中央値は 4.6 時間であった.3,904 例を対象とした修正 intention-to-treat 解析において,主要評価項目のイベントは,デクスメデトミジン群 1,948 例中 566 例(29.1%)と,通常治療群 1,956 例中 569 例(29.1%)に発生した(補正後のリスク差 0.0 パーセントポイント,95%信頼区間 -2.9~2.8).付随的な結果として,デクスメデトミジン群の患者は,定められた鎮静レベルを達成するために無作為化後最初の 2 日間にプロポフォール(患者の 64%),ミダゾラム(3%),またはその両方(7%)の追加投与を受けた.通常治療群では,これらの薬剤は第一選択鎮静薬としてそれぞれ 60%,12%,20%の患者に投与されていた.デクスメデトミジン群では徐脈と低血圧の頻度がより高かった.

結 論

ICU で人工呼吸管理を受けている患者のうち,鎮静のために早期にデクスメデトミジンの投与を受けた患者は,90 日の時点での死亡率が通常治療群の患者と同程度であり,定められた鎮静レベルを達成するために追加の鎮静薬を必要とした.デクスメデトミジン群では通常治療群よりも有害事象の報告が多かった.(オーストラリア国立保健医療研究審議会ほかから研究助成を受けた.SPICE III 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01728558)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 2506 - 17. )