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January 17, 2019 Vol. 380 No. 3

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人工関節置換術に対する強制的包括支払制度の 2 年間の評価
Two-Year Evaluation of Mandatory Bundled Payments for Joint Replacement

M.L. Barnett and Others

背景

2016 年,メディケアは,無作為抽出した大都市統計地域で,人工股関節置換術または人工膝関節置換術に対する強制的包括支払制度の全国モデルである,人工関節置換術の包括的ケア(CJR)を導入した.当該地域の病院では,人工股関節置換術または人工膝関節置換術のエピソード(入院+退院後 90 日間と定義)1 件あたりのメディケアの支出に基づいて,報奨金を受け取るか,罰金を支払う.

方 法

CJR プログラムの最初の 2 年間の包括支払いが含まれる 2015~17 年のメディケア請求データを用いて,difference-in-differences 分析を行った.CJR プログラムへの強制参加に無作為に割り付けられた 75 の大都市統計地域(包括支払制度大都市統計地域,以下「試験」地域と呼ぶ)における,CJR モデル導入前後の人工股関節置換術または人工膝関節置換術のエピソードを,121 の対照地域と比較して評価した.主要評価項目は,人工股関節置換術または人工膝関節置換術のエピソード 1 件あたりの施設の支出(すなわち,メディケアから施設,主に病院と急性期後医療施設への支払い),術後合併症の発生率,「高リスク」患者(すなわち,支出のリスクが高い患者―患者選択の指標)の割合とした.分析は,病院,および患者と手術の特性について調整した.

結 果

2015~17 年に,人工股関節置換術または人工膝関節置換術は,試験地域の 803 病院で 280,161 件,対照地域の 962 病院で 377,278 件行われた.CJR モデル導入後,人工関節置換術のエピソード 1 件あたりの施設の支出の減少は,試験地域のほうが対照地域よりも大きかった(差の変化 [すなわち,CJR モデル導入前の期間からの変化の群間差] は -812 ドル,試験群のベースラインと比較して -3.1%の差の減少,P<0.001).差の減少の大部分は,患者が退院して急性期後医療施設に移るエピソードの割合が相対的に 5.9%減少したことによるものであった.CJR プログラムには,合併症の複合発生率(P=0.67)や,高リスク患者に対する人工関節置換術施行の割合(P=0.81)に有意な差が生じるような影響はなかった.

結 論

CJR プログラム導入後の 2 年間で,人工股関節置換術または人工膝関節置換術のエピソード 1 件あたりの支出は若干減少し,合併症の発生率の上昇は伴わなかった.(コモンウェルス・ファンド,米国国立衛生研究所の国立老化研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 252 - 62. )