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June 27, 2019 Vol. 380 No. 26

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経カテーテル大動脈弁置換術における術件数と転帰
Procedural Volume and Outcomes for Transcatheter Aortic-Valve Replacement

S. Vemulapalli and Others

背景

米国で経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)が導入されたとき,メディケア・メディケイドサービスセンターは,術件数に関する要件を満たすことを償還の条件とした.病院の TAVR 術件数と患者アウトカムの関係の理解を深めることで,政策決定に有用な情報を提供できるかもしれない.

方 法

2015~17 年の術件数と転帰に関する経カテーテル心臓弁治療登録(TVT Registry)のデータを解析した.主要解析では,連続変数である病院の術件数と,経大腿動脈アプローチによる TAVR の 30 日後のリスク調整死亡率との関連を検討した.副次的解析では,病院の術件数の四分位群ごとのリスク調整死亡率などを検討した.感度解析は,各病院で導入後 12 ヵ月間の経大腿動脈アプローチによる TAVR を除外して行った.

結 果

555 ヵ所の病院で,2,960 名の術者により 113,662 件の TAVR が行われ,そのうち 96,256 件(84.7%)が経大腿動脈アプローチであった.経大腿動脈アプローチ TAVR の年間術件数と死亡率とのあいだには有意な逆相関があった.調整後の 30 日死亡率は,件数のもっとも少ない四分位群の病院(3.19%,95%信頼区間 [CI] 2.78~3.67)が,件数のもっとも多い四分位群の病院(2.66%,95% CI 2.48~2.85)よりも高く,ばらつきも大きかった(オッズ比 1.21,P=0.02).件数のもっとも少ない四分位群の平均年間件数 27 件と,件数のもっとも多い四分位群の 143 件とのあいだの調整後死亡率の差は,19.45%(95% CI 8.63~30.26)の相対的低下であった.各病院で導入後 12 ヵ月間の TAVR を除外しても,30 日死亡率は,件数のもっとも少ない四分位群が件数のもっとも多い四分位群よりも依然として高かった(3.10% 対 2.61%,オッズ比 1.19,95% CI 1.01~1.40).

結 論

2015~17 年の経大腿動脈アプローチ TAVR では,術件数と死亡率とのあいだに逆相関が観察された.30 日死亡率は,術件数の少ない病院が術件数が多い病院よりも高く,ばらつきも大きかった.(米国心臓病学会財団 全米心血管データ登録,米国胸部外科学会から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 2541 - 50. )