The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 27, 2019 Vol. 380 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心筋梗塞が疑われる患者における高感度トロポニン検査
Application of High-Sensitivity Troponin in Suspected Myocardial Infarction

J.T. Neumann and Others

背景

心筋梗塞を示唆する症状で救急受診した患者の高感度トロポニンに関するデータは,心筋梗塞である確率とその後 30 日間の転帰を明らかにするのに役立つ可能性がある.

方 法

心筋梗塞を示唆する症状で救急受診した患者の 15 の国際的なコホートにおいて,高感度トロポニン I または高感度トロポニン T を受診時に測定し,2 回目の採血を受診後早期または後期に行い,再度測定した.複数の高感度トロポニンのカットオフ値の組合せによる診断能と予後予測能を,解析–検証デザインを用いて評価した.指標とする心筋梗塞と,その後の心筋梗塞または死亡の 30 日リスクを推定するため,これらのデータに基づいたリスク評価ツールを開発した.

結 果

22,651 例(解析データセット 9,604 例,検証データセット 13,047 例)のうち,心筋梗塞の有病率は 15.3%であった.受診時の高感度トロポニンがより低いことと,2 回目の採血までの変化の絶対値がより小さいことは,心筋梗塞である確率がより低いことと心血管イベントの短期リスクがより低いことに関連していた.たとえば,高感度トロポニン I が 6 ng/L 未満で,45~120 分後(受診後早期の 2 回目の採血)の絶対値の変化が 4 ng/L 未満である場合,心筋梗塞の陰性適中率は 99.5%で,関連したその後 30 日間の心筋梗塞または死亡のリスクは 0.2%であった.患者の 56.5%は低リスクに分類された.これらの結果は外部の検証データセットでも確認された.

結 論

救急受診時の高感度トロポニン I またはトロポニン T,2 回目の採血までの動的な変化,採血の間隔を統合するために開発したリスク評価ツールは,救急受診時に心筋梗塞である確率とその後 30 日間の転帰の推定に使用することができた.(ドイツ心臓血管研究センターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00470587,NCT02355457,NCT01852123,NCT01994577,NCT03227159.Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12611001069943,ACTRN12610000766011,ACTRN12613000745741,ACTRN12611000206921)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 2529 - 40. )