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March 7, 2019 Vol. 380 No. 10

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内科の勤務時間の柔軟性に関する試験における睡眠と覚醒
Sleep and Alertness in a Duty-Hour Flexibility Trial in Internal Medicine

M. Basner and Others

背景

勤務時間規制の目的は研修医の睡眠不足を減らすことであるが,睡眠,眠気,覚醒への効果はほとんどわかっていない.

方 法

米国の 63 の内科研修プログラムを,2011 年に定められた標準的な勤務時間方針に従う群と,勤務時間の上限は週 80 時間のまま,シフト時間の制限やシフト間の義務的休息時間を定めない柔軟な方針に従う群に無作為に割り付けた.睡眠時間,朝の眠気,覚醒について非劣性デザインを用いて 2 群間で比較し,評価項目はアクティグラフィで測定した睡眠時間,カロリンスカ眠気尺度(スコアは 1 [はっきり目覚めている]~9 [非常に眠い,眠気とたたかっている]),コンピュータ化された簡易版精神運動覚醒検査(PVT-B)などとした.PVT-B は反応時間の延長(反応遅延)が覚醒の低下を示す.

結 果

6 つの柔軟なプログラムのインターン 205 人と 6 つの標準プログラムのインターン 193 人から 14 日間のデータを入手した.24 時間あたりの平均睡眠時間は,柔軟なプログラムのインターンで 6.85 時間(95%信頼区間 [CI] 6.61~7.10),標準プログラムのインターンで 7.03 時間(95% CI 6.78~7.27)であった.柔軟なプログラム群の睡眠時間は標準プログラム群に対して非劣性を示し(群間差:24 時間あたり -0.17 時間,片側 95%信頼区間下限 -0.45 時間,非劣性マージン -0.5 時間,非劣性の P=0.02),カロリンスカ眠気尺度のスコアに関しても非劣性を示した(群間差:0.12 点,片側 95%信頼区間上限 0.31 点,非劣性マージン 1 点,P<0.001).PVT-B による覚醒に関する非劣性は示されなかった(群間差:反応遅延 -0.3 回,片側 95%信頼区間上限 1.6 回,非劣性マージン 1 回,P=0.10).

結 論

今回の非劣性試験で,柔軟なプログラムのインターンにおける試験期間中の慢性的な睡眠不足や眠気が,標準プログラムのインターンよりも大きいことは示されなかった.柔軟なプログラム群の覚醒に関する非劣性は示されなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所,米国卒後医学教育認定評議会から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02274818)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 915 - 23. )