The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 19, 2019 Vol. 381 No. 12

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

サイトメガロウイルス再活性化の先制治療におけるマリバビル
Maribavir for Preemptive Treatment of Cytomegalovirus Reactivation

J. Maertens and Others

背景

マリバビル(maribavir)は抗サイトメガロウイルス(CMV)活性を有するベンズイミダゾールリボシドである.移植レシピエントにおける CMV 感染の先制治療としてのマリバビルの安全性と有効性は明らかにされていない.

方 法

マリバビルの投与量を盲検化した第 2 相非盲検試験で,造血細胞移植または固形臓器移植のレシピエント(18 歳以上で,CMV 再活性化 [DNA コピー数 1,000~100,000 コピー/mL] を認める)を,最長 12 週間のマリバビル 400 mg,800 mg,1,200 mg のいずれかの 1 日 2 回投与,またはバルガンシクロビルの標準量投与に無作為に割り付けた.主要有効性評価項目は治療に反応した患者の割合とし,治療開始後 3 週間以内および 6 週間以内に血漿中 CMV DNA が検出不能と確認されることと定義した.主要安全性評価項目は,治療中に発現または悪化した有害事象の発生率とした.

結 果

●結 果 無作為化された 161 例のうち 159 例が治療を受け,ベースライン後のデータを入手しえたのは 156 例であり,内訳はマリバビル群 117 例,バルガンシクロビル群 39 例であった.このうち 3 週間以内に治療に反応した患者の割合は,マリバビル群 62%,バルガンシクロビル群 56%であった.6 週間以内ではそれぞれ 79%と 67%であった(リスク比 1.20,95%信頼区間 0.95~1.51).治療に反応した患者の割合は,マリバビルの各用量群で同程度であった.治療に反応した患者のうち 2 例では,マリバビル 800 mg 1 日 2 回の投与開始後 6 週間以内に CMV 感染が再発した.2 例とも,CMV UL97 プロテインキナーゼに T409M 抵抗性変異が出現していた.治療中に発現または悪化した重篤な有害事象の発生率は,マリバビル群のほうがバルガンシクロビル群よりも高かった(119 例中 52 例 [44%] 対 40 例中 13 例 [32%]).有害事象により試験薬を中止した患者の割合は,マリバビル群のほうが高かった(119 例中 27 例 [23%] 対 40 例中 5 例 [12%]).マリバビル群では消化器系有害事象が報告される頻度がより高く,バルガンシクロビル群では好中球減少が報告される頻度がより高かった.

結 論

造血細胞移植または固形臓器移植のレシピエントにおいて,マリバビル 400 mg 以上の 1 日 2 回投与の CMV ウイルス血症の消失に対する有効性は,バルガンシクロビルと同程度であった.マリバビル群では,消化器系有害事象,とくに味覚異常の発現率がより高く,好中球減少の発現率がより低いことが認められた.(バイロファーマ社/シャイアー ディベロップメント社から研究助成を受けた.EudraCT 登録番号 2010-024247-32)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1136 - 47. )