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October 10, 2019 Vol. 381 No. 15

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早産児への母乳または人工乳による栄養における 2 種類の増量速度の比較試験
Controlled Trial of Two Incremental Milk-Feeding Rates in Preterm Infants

J. Dorling and Others

背景

早産児において経腸栄養量を緩徐に増加させることは,壊死性腸炎のリスク低下に関連するが,遅発性敗血症のリスク上昇にも関連することが観察研究のデータから示されている.しかし,無作為化試験のデータは限られている.

方 法

超早産児または超低出生体重児を,母乳または人工乳の投与量を 1 日あたり 30 mL/kg 体重増やす群(急速増量)と 18 mL/kg 増やす群(緩徐増量)に無作為に割り付け,最大栄養量に達するまで継続した.主要評価項目は,24 ヵ月の時点での中等度または重度の神経発達障害を伴わない生存とした.副次的評価項目は,主要評価項目の各項目,遅発性敗血症の確定例または疑い例,壊死性腸炎,脳性麻痺などとした.

結 果

無作為化された 2,804 例のうち,主要評価項目を評価しえたのは,急速増量群で 1,224 例(87.4%),緩徐増量群で 1,246 例(88.7%)であった.24 ヵ月の時点での中等度または重度の神経発達障害を伴わない生存者数は,急速増量群 1,224 例中 802 例(65.5%),緩徐増量群 1,246 例中 848 例(68.1%)であった(補正リスク比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.92~1.01,P=0.16).遅発性敗血症は,急速増量群 1,389 例中 414 例(29.8%)と緩徐増量群 1,397 例中 434 例(31.1%)に生じた(補正リスク比 0.96,95% CI 0.86~1.07).壊死性腸炎は,急速増量群 1,394 例中 70 例(5.0%)と緩徐増量群 1,399 例中 78 例(5.6%)に生じた(補正リスク比 0.88,95% CI 0.68~1.16).

結 論

超早産児または超低出生体重児において,母乳または人工乳の投与量を 1 日あたり 30 mL/kg 増やす戦略と 18 mL/kg 増やす戦略とを比較したところ,24 ヵ月の時点での中等度または重度の神経発達障害を伴わない生存に有意差は認められなかった.(英国国立医療研究機構 医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.SIFT 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN76463425)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1434 - 43. )