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November 14, 2019 Vol. 381 No. 20

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心房細動を検出するためのスマートウォッチの大規模評価
Large-Scale Assessment of a Smartwatch to Identify Atrial Fibrillation

M.V. Perez and Others

背景

ウェアラブルデバイスの光学センサーは脈の不整を検出することが可能である.スマートウォッチのアプリケーション(アプリ)が,通常の使用中に心房細動を検出できるかどうかは明らかにされていない.

方 法

心房細動の既往のない参加者(参加者自身の報告による)が,スマートフォン(アップル社製 iPhone)アプリを使用し,モニタリングに同意した.スマートウォッチの不整脈通知アルゴリズムが心房細動の可能性を検出した場合,遠隔診療が開始され,最長で 7 日間装着する心電図(ECG)パッチが参加者に郵送された.調査は不整脈の通知から 90 日後と,研究終了時に行った.主要目的は,通知を受けた参加者のうち ECG パッチで心房細動が認められた割合と,標的とする信頼区間の幅を 0.10 とする脈拍間隔不整の陽性適中率を推定することとした.

結 果

8 ヵ月間で 419,297 人を登録した.中央値 117 日間のモニタリング中に,2,161 人(0.52%)が不整脈の通知を受け取った.平均で通知の 13 日後に装着された,解析可能なデータを含む ECG パッチを返送した 450 人のうち,心房細動が存在した割合は全体で 34%(97.5%信頼区間 [CI] 29~39)であり,65 歳以上では 35%(97.5% CI 27~43)であった.不整脈の通知を受け取った参加者において,その後の不整脈の通知と ECG で心房細動が同時に観察される陽性適中率は 0.84(95% CI 0.76~0.92),その後の不整なタコグラムと ECG で心房細動が同時に観察される陽性適中率は 0.71(97.5% CI 0.69~0.74)であった.通知を受け取り,90 日後の調査に回答した 1,376 人のうち,57%はこの研究の外部の医療提供者に接触していた.アプリに関連する重篤な有害事象は報告されなかった.

結 論

不整脈の通知を受け取る確率は低かった.不整脈の通知を受け取った参加者では,34%にその後の ECG パッチで心房細動が認められ,通知の 84%が心房細動に一致していた.この施設不要の(参加者の来院を必要としない)実用的な研究デザインは,ユーザーの所有するデバイスでアウトカムまたはアドヒアランスを信頼性をもって評価することのできる,大規模な実用的研究の基盤となる.(アップル社から研究助成を受けた.Apple Heart Study:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03335800)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1909 - 17. )