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November 14, 2019 Vol. 381 No. 20

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ベーチェット症候群の口腔潰瘍に対するアプレミラストの試験
Trial of Apremilast for Oral Ulcers in Behçet's Syndrome

G. Hatemi and Others

背景

低分子ホスホジエステラーゼ 4 阻害薬アプレミラストは,ベーチェット症候群でアップレギュレートされるサイトカインを調節する.ベーチェット症候群患者を対象とした第 2 相試験では,アプレミラストによって口腔潰瘍の発症率と重症度が低下した.活動性口腔潰瘍を有し,生物学的製剤の投与歴がないベーチェット症候群患者におけるアプレミラストの有効性と安全性に関するデータは限られている.

方 法

第 3 相試験で,活動性口腔潰瘍を有するが,主要臓器の病変はないベーチェット症候群患者を,アプレミラスト 30 mg を投与する群とプラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,1 日 2 回の経口投与を 12 週間行い,その後 52 週間の延長期間を設けた.主要評価項目は,12 週間のプラセボ比較期間における口腔潰瘍の総数の曲線下面積(AUC;値が小さいほど潰瘍が少ないことを示す)とした.副次的評価項目は,口腔潰瘍の完全寛解,口腔潰瘍に関連する痛みのベースラインからの変化量,疾患活動性,ベーチェット病 QOL(BD-QoL)スコア(0~30 で,スコアが高いほど QOL への障害が大きいことを示す)のベースラインからの変化量を含む 13 項目とした.安全性も評価した.

結 果

207 例が無作為化された(アプレミラスト群 104 例,プラセボ群 103 例).口腔潰瘍の数の AUC は,アプレミラスト群で 129.5 であったのに対し,プラセボ群では 222.1 であった(最小二乗平均差 -92.6,95%信頼区間 [CI] -130.6~ -54.6,P<0.001).BD-QoL スコアのベースラインからの変化量は,アプレミラスト群で -4.3 点であったのに対し,プラセボ群では -1.2 点であった(最小二乗平均差 -3.1 点,95% CI -4.9~-1.3).アプレミラストによる有害事象は,下痢,悪心,頭痛などであった.

結 論

ベーチェット症候群に関連する口腔潰瘍を有する患者では,アプレミラストによって,口腔潰瘍はプラセボよりも大きく減少したが,下痢,悪心,頭痛などの有害事象を伴った.(セルジーン社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02307513)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1918 - 28. )