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December 5, 2019 Vol. 381 No. 23

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ネパールにおける腸チフス結合型ワクチン第 3 相試験の有効性解析
Phase 3 Efficacy Analysis of a Typhoid Conjugate Vaccine Trial in Nepal

M. Shakya and Others

背景

チフス菌(Salmonella Typhi)は,低・中所得国の小児における発熱の主要な原因である.世界保健機関の事前認証を取得したばかりの腸チフス結合型ワクチン(TCV)は,ヒト感染モデルでは有効性を示したが,腸チフスが流行している地域での有効性試験のデータは不足している.

方 法

ネパールのラリトプルで行った第 3 相無作為化比較試験で,生後 9 ヵ月~16 歳の小児を,TCV の接種を受ける群と莢膜血清型 A 群髄膜炎菌結合型ワクチン(MenA)の接種を受ける対照群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.試験群の割付けは参加者と観察者のいずれにも知らせなかった.主要転帰は血液培養で確認された腸チフスとした.主要転帰と主な副次的転帰(免疫原性を検討するサブグループを含む)の事前に規定した解析の結果を示す.2 年間の追跡調査が進行中である.

結 果

10,005 人が TCV の接種を受け,10,014 人が MenA ワクチンの接種を受けた.血液培養で確認された腸チフスは,TCV の接種を受けた参加者のうち 7 人(100,000 人年あたり 79 件)と MenA ワクチンの接種を受けた参加者のうち 38 人(100,000 人年あたり 428 件)に発生した(ワクチン有効率 81.6%,95%信頼区間 58.8~91.8,P<0.001).接種後 6 ヵ月以内に,重篤な有害事象は 132 件(TCV 群 61 件,MenA ワクチン群 71 件)発現し,1 件(発熱)はワクチンに関連するものとみなされたが,この参加者は試験群の割付けを知らされないままであった.有害事象の発現率は 2 群で同程度であり,発熱は,接種後 1 週間以内に TCV 群の 5.0%と MenA ワクチン群の 5.4%に出現した.免疫原性サブグループでは,セロコンバージョン率(接種後 28 日の時点で Vi 抗原に対する IgG 抗体価が少なくとも 4 倍)は,TCV 群では 99%(683 人中 677 人),MenA ワクチン群では 2%(380 人中 8 人)であった.

結 論

生後 9 ヵ月~16 歳の小児において,TCV の単回接種には免疫原性があり,S. Typhi 菌血症を減少させるのに有効であった.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN43385161)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2209 - 18. )