December 5, 2019 Vol. 381 No. 23
片頭痛の治療に対するユブロゲパント
Ubrogepant for the Treatment of Migraine
D.W. Dodick and Others
ユブロゲパント(ubrogepant)は,片頭痛の急性期治療に用いられる経口小分子カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬である.
ユブロゲパントの有効性,安全性,副作用プロファイルを評価する無作為化試験を行った.前兆の有無を問わず片頭痛を有する成人を,単回の片頭痛発作に対する治療として,プラセボ,ユブロゲパント 50 mg,ユブロゲパント 100 mg のいずれかの投与に 1:1:1 の割合で割り付けて 1 回投与し,参加者は任意で 2 回目の服用を行うことができた.主要有効性エンドポイントは,1 回目の投与後 2 時間の時点で疼痛がないことと,2 時間の時点でもっともつらい片頭痛関連症状がないことの 2 つとした.副次的エンドポイントは,疼痛の緩和(2 時間の時点),疼痛が緩和した状態の持続(2~24 時間),疼痛がない状態の持続(2~24 時間),2 時間の時点で片頭痛関連症状(羞明,音過敏,悪心)がないことなどとした.
1,672 例を登録し,559 例をプラセボ群,556 例をユブロゲパント 50 mg 群,557 例をユブロゲパント 100 mg 群に割り付けた.2 時間の時点で疼痛がなかった参加者の割合は,プラセボ群 11.8%,ユブロゲパント 50 mg 群 19.2%(多重性を補正,プラセボとの比較で P=0.002),ユブロゲパント 100 mg 群 21.2%(P<0.001)であった.2 時間の時点でもっともつらい片頭痛関連症状がなかった参加者の割合は,プラセボ群 27.8%,ユブロゲパント 50 mg 群 38.6%(P=0.002),ユブロゲパント 100 mg 群 37.7%(P=0.002)であった.1 回目の投与後または任意の 2 回目の投与後 48 時間以内に発現した有害事象は,プラセボ群では 12.8%,ユブロゲパント 50 mg 群では 9.4%,ユブロゲパント 100 mg 群では 16.3%で報告された.とくに頻度が高かった有害事象は,悪心,傾眠,口内乾燥であり(0.4~4.1%で報告),ユブロゲパント 100 mg 群(2.1~4.1%で報告)でより頻度が高かった.ユブロゲパントを投与した 2 群で 30 日以内に報告された重篤な有害事象には,虫垂炎,自然流産,心囊液貯留,痙攣発作などがあったが,投与後 48 時間以内に発現したものはなかった.
ユブロゲパント投与を受けた参加者は,プラセボ投与を受けた参加者よりも,投与後 2 時間の時点で疼痛がなかった参加者の割合と,もっともつらい症状がなかった参加者の割合が高かった.とくに報告が多かった有害事象は,悪心,傾眠,口内乾燥であった.片頭痛の急性期治療に用いるユブロゲパントの効果の持続性と安全性を明らかにし,また他の片頭痛治療薬と比較するために,さらに試験を行う必要がある.( アラガン社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02828020)