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December 19, 2019 Vol. 381 No. 25

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米国の州レベルでの成人の肥満と重度肥満の有病率の予測
Projected U.S. State-Level Prevalence of Adult Obesity and Severe Obesity

Z.J. Ward and Others

背景

米国全体での肥満の蔓延は明確に確認されているが,州レベルでの肥満に関しては十分に明らかにされていない.現在の推定は個人が自己申告した身体指標に基づいており,それは肥満,とくに重度肥満の有病率を過小評価している.

方 法

自己申告バイアスを補正し,体格指数(BMI)区分別の有病率について,州別・人口統計学的サブグループ別の傾向と予測を推定するための方法を開発した.行動危険因子調査(1993~94 年,1999~2016 年)に参加した成人(18 歳以上)6,264,226 人が回答した BMI データを入手し,全米健康栄養調査(NHANES)に参加した成人 57,131 人の測定データを用いて,分位別の自己申告バイアスを補正した.各州,各サブグループに多項式回帰を当てはめ,4 つの BMI 区分の 1990~2030 年の有病率を推定した.BMI(体重 [kg]/身長 [m]2)の区分は,低体重または標準体重(25 未満),過体重(25 以上 30 未満),中等度肥満(30 以上 35 未満),重度肥満(35 以上)とした.1990~2010 年のデータを用いて 2016 年のアウトカムを予測し,このアプローチの精度を評価した.

結 果

このアプローチから得られた知見は予測精度が高く,2030 年までに 2 人に 1 人近く(48.9%,95%信頼区間 [CI] 47.7~50.1)が肥満になるであろうことと,その有病率は 29 州で 50%を超え,いずれの州でも 35%を下回らないであろうことを示唆している.また,2030 年までに 4 人に 1 人近く(24.2%,95% CI 22.9~25.5)が重度肥満になるであろうことと,その有病率は 25 州で 25%を超えるであろうことが予測された.米国全体で,重度肥満の BMI 区分は,女性(27.6%,95% CI 26.1~29.2),非ヒスパニック系黒人の成人(31.7%,95% CI 29.9~ 33.4),低所得の成人(31.7%,95% CI 30.2~33.2)ではもっとも割合の高い区分になると予測される.

結 論

われわれの解析は,成人の肥満と重度肥満の有病率が米国全体で上昇し続けるであろうことと,州と人口統計学的サブグループによって格差が大きいことを示している.(JPB 財団から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2440 - 50. )