December 19, 2019 Vol. 381 No. 25
結核予防のための M72/AS01E ワクチンの試験の最終解析
Final Analysis of a Trial of M72/AS01E Vaccine to Prevent Tuberculosis
D.R. Tait and Others
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に対するワクチン候補である M72/AS01E の試験の早期解析の結果は,感染した成人における活動性肺結核症の予防率が 54.0%であったことを示し,明らかな安全性の懸念はなかった.今回,有効性,安全性,免疫原性について 3 年間の最終解析の結果を報告する.
2014 年 8 月~2015 年 11 月に,ケニア,南アフリカ,ザンビアの施設で,結核菌感染(インターフェロンγ遊離試験陽性により定義)を認めるが活動性結核症の所見を認めない 18~50 歳の成人を登録した.参加者を,M72/AS01E 群とプラセボ群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,1 ヵ月の間隔をあけて 2 回接種した.主要目的は,活動性肺結核症の予防における M72/AS01E の有効性を,第一の症例定義(ヒト免疫不全ウイルス感染を伴わない,細菌学的に確認された肺結核)に従って評価することとした.参加者を 2 回目の接種後 3 年間追跡した.臨床的に結核が疑われる参加者には,ポリメラーゼ連鎖反応検査または抗酸菌培養,あるいはその両方を行うため喀痰検体の提出を求めた.液性免疫反応と細胞性免疫反応を,300 例から成るサブグループで 36 ヵ月まで評価した.M72/AS01E またはプラセボの接種を少なくとも 1 回受けた全例で安全性を評価した.
3,575 例が無作為化され,うち 3,573 例が M72/AS01E またはプラセボの接種を少なくとも 1 回受け,3,330 例が計画された接種を 2 回とも受けた.プロトコル遵守(according-to-protocol)有効性コホートの 3,289 例のうち,第一の症例定義を満たす結核を発症したのは,M72/AS01E 群では 1,626 例中 13 例であったのに対し,プラセボ群では 1,663 例中 26 例であった(100 人年あたり 0.3 件 対 0.6 件).36 ヵ月の時点でのワクチン有効率は 49.7%(90%信頼区間 [CI] 12.1~71.2,95% CI 2.1~74.2)であった.M72/AS01E 群の参加者では,M72 特異的抗体の濃度と M72 特異的 CD4+T 細胞の数が 1 回目の接種後増加し,追跡期間中持続していた.重篤な有害事象,免疫が介在する可能性のある疾患,死亡の発生率は 2 群で同程度であった.
結核菌に感染した成人において,M72/AS01E ワクチン接種は免疫反応を誘導し,肺結核症への進行を少なくとも 3 年間予防した.(グラクソ・スミスクライン・バイオロジカルズ社,Aeras から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01755598)