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August 15, 2019 Vol. 381 No. 7

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抗アクアポリン 4 抗体陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害に対するエクリズマブ
Eculizumab in Aquaporin-4–Positive Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder

S.J. Pittock and Others

背景

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は再発性の自己免疫性炎症性疾患であり,通常,視神経と脊髄に影響する.症例の 2/3 以上が,抗アクアポリン 4 抗体(AQP4-IgG)と中枢神経系の補体介在性損傷に関連している.以前に行われた AQP4-IgG 陽性 NMOSD 患者を対象とした小規模な非盲検試験では,終末補体阻害薬であるエクリズマブは再発の頻度を低下させることが示された.

方 法

イベント発生までの期間(time-to-event)を解析する無作為化二重盲検試験で,143 例の成人を,エクリズマブ静注群(1 日目に投与を開始し,最初の 4 回は 900 mg を週 1 回,翌週からは 2 週ごとに 1,200 mg)とマッチさせたプラセボ群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.投与量が一定の免疫抑制療法の継続は可能とした.主要評価項目は判定された初回再発とした.副次的評価項目は,判定された再発の年間発生率,QOL 指標,総合障害度評価尺度(EDSS)のスコアなどとした.EDSS のスコアの範囲は 0(障害なし)~10(死亡)であった.

結 果

事前に規定した再発 24 件のうち 23 件が起こった時点で,最後の再発が起こる時期の予測が不確実であったため試験を中止した.登録前 24 ヵ月における平均(±SD)年間再発率は 1.99±0.94 であった.患者の 76%は,それまで受けていた免疫抑制療法を試験期間中も継続した.判定された再発は,エクリズマブ群の 96 例中 3 例(3%)とプラセボ群の 47 例中 20 例(43%)に起こった(ハザード比 0.06,95%信頼区間 [CI] 0.02~0.20,P<0.001).判定された再発の年間発生率はエクリズマブ群 0.02,プラセボ群 0.35 であった(率比 0.04,95% CI 0.01~0.15,P<0.001).EDSS スコアの変化量の平均はエクリズマブ群 -0.18,プラセボ群 0.12 であった(最小二乗平均差 -0.29,95% CI -0.59~0.01).上気道感染と頭痛の頻度は,エクリズマブ群のほうが高かった.エクリズマブ群では膿胸による死亡が 1 例あった.

結 論

AQP4-IgG 陽性 NMOSD 患者では,エクリズマブの投与を受けた患者のほうが,プラセボの投与を受けた患者よりも再発リスクが有意に低かった.障害の進行の指標に群間で有意差は認められなかった.(アレクシオン・ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.PREVENT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01892345,EudraCT 登録番号 2013-001150-10)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 614 - 25. )