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August 15, 2019 Vol. 381 No. 7

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2 型糖尿病の小児・青年期患者におけるリラグルチド
Liraglutide in Children and Adolescents with Type 2 Diabetes

W.V. Tamborlane and Others

背景

メトホルミンは,2 型糖尿病早期のほとんどの小児・青年期患者に対して規制当局から承認を得ている第一選択薬である.しかしメトホルミン単剤療法では,早期に血糖コントロール不良となることが観察されている.小児・青年期の 2 型糖尿病患者において,メトホルミン(基礎インスリン治療の有無を問わず)にリラグルチドを追加することが安全かつ有効かどうかはわかっていない.

方 法

10 歳以上 17 歳未満の患者を,リラグルチド(最大 1.8 mg/日)皮下注群とプラセボ群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,26 週間の二重盲検期間のあと,26 週間の非盲検延長期間を設けた.選択基準は体格指数が 85 パーセンタイルを超えていることと,糖化ヘモグロビン値が食事療法と運動療法のみで治療されている場合は 7.0~11.0%,メトホルミンで治療されている場合(インスリンの有無を問わず)は 6.5~11.0%とした.試験期間中,全例にメトホルミンを投与した.主要エンドポイントは,26 週以降の時点でのベースラインからの糖化ヘモグロビン値の変化とした.副次的エンドポイントは空腹時血糖値の変化などとした.試験期間を通じて安全性を評価した.

結 果

無作為化された 135 例のうち,134 例が 1 回以上リラグルチド(66 例)またはプラセボ(68 例)の投与を受けた.人口統計学的特性は 2 群で類似していた(平均年齢 14.6 歳).26 週の時点での主要有効性エンドポイントの解析では,糖化ヘモグロビン値の平均はリラグルチド群で 0.64 パーセントポイント低下し,プラセボ群で 0.42 パーセントポイント上昇しており,推定治療差は -1.06 パーセントポイントであった(P<0.001).この差は,52 週の時点までに -1.30 パーセントポイントに増加した.空腹時血糖値は,リラグルチド群では両時点で低下していたが,プラセボ群では上昇していた.有害事象が報告された患者数は 2 群で同程度(リラグルチド群 56 例 [84.8%],プラセボ群 55 例 [80.9%])であったが,有害事象全体と消化器系有害事象の発現率はリラグルチド群のほうが高かった.

結 論

2 型糖尿病の小児・青年期患者において,最大 1.8 mg/日のリラグルチド投与(メトホルミンに追加,基礎インスリンの有無は問わず)は,52 週にわたる血糖コントロールの改善に有効であった.この有効性は,消化器系有害事象の高い発現率という代償を伴った.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.Ellipse 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01541215)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 637 - 46. )