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August 29, 2019 Vol. 381 No. 9

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2 型糖尿病患者における経口セマグルチドと心血管転帰
Oral Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes

M. Husain and Others

背景

2 型糖尿病の新規治療の心血管安全性を確立することは重要である.グルカゴン様ペプチド 1 受容体作動薬セマグルチドの安全性データは,皮下注射剤については存在するが,経口剤についても必要である.

方 法

心血管リスクの高い(50 歳以上で心血管疾患または慢性腎臓病が確認されている,または 60 歳以上で心血管危険因子のみを有する)患者を対象としたイベント主導型無作為化二重盲検プラセボ対照試験で,経口セマグルチドの 1 日 1 回投与の心血管転帰を評価した.生存時間(time-to-event)解析の主要転帰は,主要有害心血管イベント(心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中)の初回発生とした.試験は,プラセボと比較して 80%超過する心血管リスクを除外するようデザインされた(主要転帰のハザード比の 95%信頼区間上限 1.8 を非劣性マージンとした).

結 果

3,183 例を,経口セマグルチドの投与を受ける群とプラセボの投与を受ける群に無作為に割り付けた.患者の平均年齢は 66 歳であり,2,695 例(84.7%)が 50 歳以上で心血管疾患または慢性腎臓病を有していた.試験期間の中央値は 15.9 ヵ月であった.主要有害心血管イベントは,経口セマグルチド群 1,591 例中 61 例(3.8%)とプラセボ群 1,592 例中 76 例(4.8%)に発生した(ハザード比 0.79,95%信頼区間 [CI] 0.57~1.11,非劣性の P<0.001).主要転帰の項目別では,心血管系の原因による死亡は経口セマグルチド群 1,591 例中 15 例(0.9%)とプラセボ群 1,592 例中 30 例(1.9%)(ハザード比 0.49,95% CI 0.27~0.92),非致死的心筋梗塞はそれぞれ 1,591 例中 37 例(2.3%)と 1,592 例中 31 例(1.9%)(ハザード比 1.18,95% CI 0.73~1.90),非致死的脳卒中はそれぞれ 1,591 例中 12 例(0.8%)と 1,592 例中 16 例(1.0%)(ハザード比 0.74,95% CI 0.35~1.57)に発生した.全死因死亡は,経口セマグルチド群 1,591 例中 23 例(1.4%)とプラセボ群 1,592 例中 45 例(2.8%)に発生した(ハザード比 0.51,95% CI 0.31~0.84).経口セマグルチドまたはプラセボの中止にいたった消化管有害事象は,経口セマグルチドのほうが多かった.

結 論

2 型糖尿病患者を対象としたこの試験では,経口セマグルチドの心血管リスクプロファイルは,プラセボに対し非劣性を示した.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.PIONEER 6 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02692716)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 841 - 51. )