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November 18, 2021 Vol. 385 No. 21

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Covid-19 の高リスク外来患者に対する早期の回復者血漿
Early Convalescent Plasma for High-Risk Outpatients with Covid-19

F.K. Korley and Others

背景

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)から回復した患者から提供された血漿(回復者血漿)を,Covid-19 の症状が急激に現れた高リスク患者に早期に投与することで,進行を抑制できる可能性がある.

方 法

無作為化多施設共同単盲検試験で,Covid-19 症状のため救急部で治療を受けている患者を,高抗体価の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に対する抗体を含有する回復者血漿 1 単位を投与する群と,プラセボを投与する群に割り付けた.対象は,50 歳以上,または疾患進行の危険因子を 1 つ以上有する患者とした.さらに,症状発現後 7 日以内に救急部を受診し,組入れ前に症状が外来管理可能な状態まで安定していることとした.主要転帰は無作為化後 15 日以内の疾患進行とし,あらゆる理由による入院,救急受診または緊急診療所受診,入院を伴わない死亡の複合とした.副次的転帰は,8 段階の順序尺度で評価した,無作為化後 30 日間でもっとも不良であった疾患重症度,無作為化後 30 日間の非入院日数,全死因死亡などとした.

結 果

511 例が試験に組み入れられた(回復者血漿群 257 例,プラセボ群 254 例).年齢の中央値は 54 歳で,症状持続期間の中央値は 4 日であった.供血者の血漿検体の SARS-CoV-2 中和抗体価の中央値は 1:641 であった.疾患進行は,回復者血漿群の 77 例(30.0%),プラセボ群の 81 例(31.9%)に認められた(リスク差 1.9 パーセントポイント,95%信用区間 -6.0~9.8,回復者血漿の優越性の事後確率 0.68).血漿群の 5 例,プラセボ群の 1 例が死亡した.もっとも不良な疾患重症度の分布,非入院日数は 2 群で同程度であった.

結 論

Covid-19 の症状発現後 1 週間以内の高リスク外来患者に対する Covid-19 回復者血漿の投与は,疾患の進行を抑制しなかった.(SIREN-C3PO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04355767)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1951 - 60. )