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January 6, 2022 Vol. 386 No. 1

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イチゴ腫の根絶を目的とする 3 回のアジスロマイシン集団投与の試験
Trial of Three Rounds of Mass Azithromycin Administration for Yaws Eradication

L.N. John and Others

背景

梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の亜種である pertenue は,イチゴ腫(熱帯フランベジア)を引き起こす.よりよく制御,排除,根絶するための戦略が必要とされている.

方 法

パプアニューギニアのイチゴ腫流行地域で行われたコミュニティベースの非盲検クラスター無作為化試験で,38 の行政区(クラスター)を,アジスロマイシンの集団投与を 1 回行い,イチゴ腫を発症した症例に標的治療を 2 回行う群(対照群)と,アジスロマイシンの集団投与を 3 回行う群(試験群)に無作為に割り付けた.1 回目の投与はベースライン時,2 回目は 6 ヵ月の時点,3 回目は 12 ヵ月の時点で行った.主要エンドポイントは,試験集団全体における PCR 法で確認された活動性イチゴ腫の有病率と,1~15 歳の無症状の小児サブグループにおける血清検査で確認された潜在性イチゴ腫の有病率の 2 つとした.有病率は 18 ヵ月の時点で評価し,群間差を算出した.

結 果

38 区のうち,19 区を対照群(30,438 例),19 区を試験群(26,238 例)に無作為に割り付けた.アジスロマイシンは対照群では 24,848 回投与され(1 回目は 22,033 回投与,2 回目と 3 回目 [統合]はイチゴ腫様病変を有する参加者に 207 回,その接触者に 2,608 回投与),試験群では 59,852 回投与された.18 ヵ月の時点での活動性イチゴ腫の有病率は,対照群ではベースライン時の 0.46%(22,033 例中 102 例)から 0.16%(29,954 例中 47 例)に減少し,試験群ではベースライン時の 0.43%(20,331 例中 87 例)から 0.04%(25,987 例中 10 例)に減少していた(クラスター分けを補正した相対リスク 4.08,95%信頼区間 [CI] 1.90~8.76).他の感染性潰瘍の有病率は 2 群で同程度に低下した.18 ヵ月の時点での潜在性イチゴ腫の有病率は,対照群の小児 994 例では 6.54%(95% CI 5.00~8.08),試験群の小児945 例では 3.28%(95% CI 2.14~4.42)であった(クラスター分けと年齢を補正した相対リスク 2.03,95% CI 1.12~3.70).マクロライド耐性のイチゴ腫が試験群の 3 例に認められた.

結 論

イチゴ腫の地域有病率は,アジスロマイシンの集団投与を 6 ヵ月間隔で 3 回行うほうが,集団投与を 1 回行い標的治療を 2 回行うよりも大きく低下した.抗菌薬耐性の出現と拡大を監視する必要がある.(「ラ・カイシャ」財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03490123)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 47 - 56. )