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June 12, 2025 Vol. 392 No. 22

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肥満・過体重の中国人成人に対する週 1 回のマズドゥチド
Once-Weekly Mazdutide in Chinese Adults with Obesity or Overweight

L. Ji and Others

背景

インクレチンをベースとするデュアル作動薬による薬物療法が,肥満者に有用であることを示唆するエビデンスがある.グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)とグルカゴン受容体のデュアル作動薬であるマズドゥチド(mazdutide)は,過体重・肥満者に有効である可能性がある.

方 法

中国で第 3 相二重盲検プラセボ対照試験を行い,体格指数(BMI;体重 [kg]/身長 [m]2)が 28 以上,または BMI が 24 以上 28 未満で体重に関連する併存疾患を 1 つ以上有する 18~75 歳の成人を,マズドゥチド 4 mg 群,マズドゥチド 6 mg 群,プラセボ群に 1:1:1 の割合で無作為に割り付け,48 週間投与した.主要評価項目は,32 週の時点での体重のベースラインからの変化率と 5%以上の体重減少の 2 つとし,治療方針に基づく推定対象(estimand)の解析で評価した(マズドゥチドまたはプラセボの早期中止や,新たな抗肥満治療の開始にかかわらず効果を評価した).

結 果

参加者 610 例におけるベースライン時の平均体重は 87.2 kg,平均 BMI は 31.1 であった.32 週の時点で,体重のベースラインからの変化率の平均は,マズドゥチド 4 mg 群で -10.09%(95%信頼区間 [CI] -11.15~-9.04),マズドゥチド 6 mg 群で -12.55%(95% CI -13.64~-11.45),プラセボ群で 0.45%(95% CI -0.61~1.52)であり,5%以上の体重減少は,それぞれ 73.9%,82.0%,10.5%に認められた(プラセボとの比較ですべて P<0.001).48 週の時点では,体重のベースラインからの変化率の平均は,マズドゥチド 4 mg 群で -11.00%(95% CI -12.27~-9.73),マズドゥチド 6 mg 群で -14.01%(95% CI -15.36~-12.66),プラセボ群で 0.30%(95% CI -0.98~1.58)であり,15%以上の体重減少はそれぞれ 35.7%,49.5%,2.0%に認められた(プラセボとの比較ですべて P<0.001).事前に規定した心血管代謝指標すべてに,マズドゥチドの有益な効果が認められた.とくに報告頻度が高かった有害事象は消化器系の事象であり,大部分は軽度~中等度であった.試験レジメンの中止にいたった有害事象の発現率は,マズドゥチド 4 mg 群で 1.5%,マズドゥチド 6 mg 群で 0.5%,プラセボ群で 1.0%であった.

結 論

過体重・肥満の中国人成人に対して,マズドゥチド 4 mg または 6 mg を週 1 回,32 週間投与した場合,臨床的に重要な体重減少が得られた.(イノベント バイオロジクス社から研究助成を受けた.GLORY-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05607680)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 2215 - 25. )