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September 25, 2025 Vol. 393 No. 12

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慢性リンパ性白血病に対する測定可能残存病変をガイドとする治療法
Measurable Residual Disease–Guided Therapy for Chronic Lymphocytic Leukemia

T. Munir and Others

背景

未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象としたこの FLAIR 試験では,無増悪生存の中間解析で,イブルチニブ–ベネトクラクスの,フルダラビン–シクロホスファミド–リツキシマブ(FCR)に対する優越性が示された.イブルチニブ–ベネトクラクスが,イブルチニブ単独よりも有効かは明らかでない.

方 法

第 3 相多施設共同非盲検試験で,CLL 患者を,イブルチニブ–ベネトクラクス群,イブルチニブ単独群,FCR 群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,イブルチニブ–ベネトクラクス群の,イブルチニブ単独群と比較した 2 年以内の骨髄中の測定可能残存病変(MRD)の陰性化と,イブルチニブ–ベネトクラクス群の,FCR 群と比較した無増悪生存とした.統計的検出力のある副次的評価項目は,イブルチニブ–ベネトクラクス群の,イブルチニブ単独群と比較した無増悪生存とした.そのほかの副次的評価項目は,全生存などとした.

結 果

イブルチニブ–ベネトクラクス群では 260 例中 172 例(66.2%)で 2 年以内に骨髄中の MRD が陰性化したのに対し,イブルチニブ単独群では 263 例中 0 例(P<0.001),FCR 群では 263 例中 127 例(48.3%)であった.追跡期間中央値 62.2 ヵ月の時点で,イブルチニブ–ベネトクラクス群では 18 例(6.9%)で病勢進行または死亡にいたったのに対し,イブルチニブ単独群では 59 例(22.4%)(ハザード比 0.29,95%信頼区間 [CI] 0.17~0.49,P<0.001),FCR 群では 112 例(42.6%)(ハザード比 0.13,95% CI 0.08~0.21,P<0.001)であった.5 年無増悪生存率は,イブルチニブ–ベネトクラクス群 93.9%,イブルチニブ単独群 79.0%,FCR 群 58.1%であった.イブルチニブ–ベネトクラクス群では 11 例(4.2%)が死亡したのに対し,イブルチニブ単独群では 26 例(9.9%)が死亡し(ハザード比 0.41,95% CI 0.20~0.83),FCR 群では 39 例(14.8%)が死亡した(ハザード比 0.26,95% CI 0.13~0.50).突然死は,イブルチニブ–ベネトクラクス群の 3 例,イブルチニブ単独群の 8 例,FCR 群の 4 例に発生した.

結 論

この試験では,長期の追跡と登録の増加により,MRD 陰性化と無増悪生存期間延長の割合は,イブルチニブ–ベネトクラクス群のほうが,イブルチニブ単独群や FCR 群よりも高いことが示された.全生存の結果も,イブルチニブ–ベネトクラクスの利益と一致するものであった.(キャンサーリサーチ UK ほかから研究助成を受けた.FLAIR 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN01844152,EudraCT 登録番号 2013-001944-76)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1177 - 90. )